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候補者に被害者名告げず 性犯罪の裁判員選任手続き '09/5/30

 裁判員裁判を実施する各地裁は、強姦ごうかん致傷など性犯罪の裁判員選任手続きで、候補者に被害者の氏名は明かさず、イニシャルや年代などにとどめ裁判長が個別の質問で被害者の関係者かどうか確認する見通しであることが、最高裁への三十日までの取材で分かった。

 裁判員候補者に事件の情報に関する守秘義務はなく、二十一日の裁判員制度施行に当たり、女性支援団体などが性犯罪被害者のプライバシー保護などを要請していた。

 最高裁によると、裁判員裁判では、対象事件ごとに五十―百人の候補者を各地裁の裁判員選任手続きに呼び出す。

 各地裁は候補者に、まず被告や被害者の名前を含めた事件の概要を説明し、被告や被害者との関係の有無を確認する。それぞれの親族や同居人などは不選任とし、友人や知人などで不公正な裁判をする恐れがあると判断した場合も候補者から外さなければならない。

 この概要説明で、性犯罪被害者は「三十代のSさん」などとするほか、市区町村の規模により、おおまかな住所地を伝えて、候補者に心当たりがないか尋ねる。

 その後、心当たりがあると答えた人には、裁判長が一人一人実施する質問の中で、心当たりのある人の名前を聞き、被害者かどうか確認する。

 殺人や傷害致死など性犯罪以外の罪名の対象事件に性暴力が含まれている場合も、被害者情報保護の必要性があれば同様の方法をとるという。

 裁判官は独立して職務に当たるので、こうしたやり方を一律に徹底することはできないが、最高裁は「事件に応じた裁判員選任手続きの方法は協議を続けてきたので、各地裁は対応を把握している」としている。




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