日本をホスピタリティ国家に
教育問題だけではなく、「仕事」全般について書きたいと思っています。
教員が生徒を教育することは、まぎれもなく「仕事」です。教育委員会が活動するのも「仕事」であり、文部科学省の役人が教育現場を指導するのもまさに「仕事」そのものです。
対価はお金ではありませんが、お母さんが子どもを育てる事も「仕事(生産消費者※1)」であり、ボランティアで空き缶拾いをすることも「仕事」です。
その仕事の基礎としての考え方を取りまとめたいと考えています。一言で表現すると「仕事の素」です。
今、世の中には仕事をする上でのテクニックを紹介する本が溢れています。「人に好かれる話し方」「顧客をリピーターにするサービス極意」「部下を意のままに動か方法」など、思わず手に取りたくなる本ではあります。しかしながらテクニックは所詮テクニックです。
仕事の基本となる考え方が理解できていなければ、テクニックは相手に見破られ、長期的に役にたつことはありません。
例えるならば、テクニックを「ワード」や「エクセル」などのアプリケーションとすれば、私が書くコンテンツは「OS(基本ソフト)」に当たるということです。土台となるしっかりとした「仕事の素」の上でしかテクニックやハウツーは生かされないということを皆さんにお伝えしたいのです。
私は拙書にこのように書きました。
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■騎馬民族は違う
まず、私が長い年月をかけてわかってきた、ディズニーランドを生み出した国、アメリカ的発想やパラダイム(理論的枠組み)についてまとめてみます。
・理論的、科学的手法を重視する ・仮説や仮定を大切にする
・あいまいな部分を許さない ・仕事の標準化(マニュアル化)を重要視する
・使用する言葉に厳密さを求める ・判断基準(ものさし)がはっきりしている
・段階的準備(レベル1〜5)を用意する ・安全装置を二重三重に施す
・決定権者がはっきりしている ・決定権者の決定に従う
・サインをする事の重大性を認識している ・異質性を重要視する
・意見の違いを当たり前と考える ・シナジー(相乗効果)を大切にする
日本的……? すべてをさかさまにしてみてください。語尾をない・しないに変えるだけです。日本の役人的考え方そのものになりませんか。
いずれにしても、世界の一流の企業であるディズニーにおいて特に大事なもの、それは安全管理機能と教育機能ですが、日本的手法、日本流のノウハウは全く役に立ちません。
「すべてのゲストがVIP」ディズニーランドで教えるホスピタリティより
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世界に冠たる一流企業であるディズニーからたたき込まれた「理論的、科学的手法」と、私がコンサルタント活動を通じて学んだことを惜しむことなく、日本社会にお伝えしていきたいと考えています。そうすることにより、「いじめ問題」は日本の社会問題とならなくなるでしょう。(いじめは確実に減少しますが、ゼロにできると言っているのではありません)
働く人たちの間のコミュニケーションが良くなり、労働生産性も高まることでしょう。ディズニーは競争至上主義ではなく、協力や共生を重要視する社会です。競争至上主義が労働生産性を低下させるメカニズム、反対に協力や共生社会が「仕事」をする人のモチベーションを高め、労働生産性を高めていくメカニズムも明らかにしていきます。
最後に、
ディズニフィケーション(disnification)という言葉があります。「ディズニー化」とい意味であり。美術や都市づくりの分野で使われているようですが、私はこのディズニフィケーションを「社会のディズニー化現象」と捉えています。
10年以上前、ディズニーランドを運営する(株)オリエンタルランドの役員の方が、所管の警察で講演された時に、このディズニフィケーションという言葉を紹介したと記憶しています。
「安全で美しく、誰もが安心して暮らせる社会」にするためには、地域をホスピタリティ社会であるディズニーランドのようにすることが必要である、このようにお話されたかどうかは分かりませんが、まさに私が申し上げたいのはこのこと、日本社会をディズニーランドのようなホスピタリティ国家にすべきであるということです。
私が発表するコンテンツが、日本をホスピタリティ国家にするための「指南書」の一つになれば望外の幸せであると考えています。。
※ 1 生産消費者
生産消費者は、子どもを育て、労働力を再生産する。そもそも、子育てというタダ飯がなければ、金銭経済などすぐに成り立たなくなってしまうのだ。「富の未来」アルビン・トフラー ハイジ・トフラー著 講談社刊より