ホスピタリティとコンプライアンス
◇コンプライアンス(法令遵守)だけでは会社は存続できません。法令は社会の最低限のルールであって、法令さえ守っていれば何をやってもいいというのではありません。そして、より会社のルールを明確にするために役立つのがマニュアルなのです。
このように書きましたが、その背景にはライブドア問題、村上ファンド問題などで表顕したように「法に触れなければ何をやってもよい」という風潮が、今の日本に蔓延していると考えているからです。
この「法に触れなければ」という思想は、アメリカ型の市場原理主義に基づくものであると考えられますが、日本人がこの市場原理主義を解釈するとこうなってしまいます。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
「カラス、何故鳴くの、カラスの勝手でしょ〜」
もちろん日本人全員がこうだと申し上げているのではありませんが、いわゆる「勝ち組」を目指し、人生の大部分を経済活動(平たくいえば金儲け)に費やそうと考える日本人が増えてきたことは、事実であろうと推察されます。
なぜ、こうなってしまうのでしょうか。
それを突き詰めると、ホスピタリティの概念に突き当たると私は考えます。職場がホスピタリティの環境でないために、たとえルール違反をしてまでも一人勝ちを目指す、という人間が現れてしまうということです。
このことを証明するためには、ホスピタリティという概念の根幹であるものをはっきりさせなくてはなりません。
ホスピタリティの根幹であるもの、それを一文字で表すと「共」になります。
ホスピタリティとサービスの違いをご覧いただくと分かりますが、ホスピタリティにとって優先されるもの、つまり最重要であるものは「共感」「共有」そして「共生」「共助」「共栄」などの「共」であるのです。
別な言い方をすれば「WIN−WIN」でしょう。あらゆる仕事は「しあわせづくり」です。会社と顧客、会社と従業員が“共に”「WIN−WIN」、言い換えれば「ハッピー − ハッピー」になることこそが最優先されるべき考え方なのです。
ホスピタリティの環境においては「共」や「WIN−WIN」の考え方が重要視されます。反対にルール違反をしてまでも一人勝ちを目指すという考え方は通用しなくなります。
ようするに、ホスピタリティの環境であれば、「みんなで渡れば」「カラスの勝手でしょ〜」などという考えを持つ人は、間違いなく淘汰されるということです。日本国の法令や、会社や職場の人間が決めたルールを守らないなどという人はいなくなるということです。コンプライアンスも遵守され、不祥事もなくなるということを申し上げたいのです。
ここまで、かなり急いだ理論展開をしてきましたが私の持論は、コンプライアンスとは法令遵守ということだけではない、「ホスピタリティ精神」も十分に尊重してはじめて、企業のコンプライアンスと言えるということです。
今後は、コンプライアンスとは「法令+ホスピタリティ精神遵守」であると考えたほうが、皆さんの仕事はうまくいくに違いありません。日本社会の「安全性」も格段に向上していくことでしょう。私はそう信じて疑いません。
最後に・・・
シンドラー社のエレベーター事故問題に引き続き、トヨタ自動車のリコール隠し問題、パロマ社湯沸かし器問題など、企業の不祥事は後を絶ちません。
私は、声を大にして企業関係者に申し上げたい!
「安全、安心を機軸としたホスピタリティ経営に転換していかないと、企業の明るい未来は決して見えてきません」
ということを・・・
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