あぁ、なるほど。何か個人的には、少し離れていたことでみんながユニコーンっぽさを客観的に理解して、そういう味付けを楽しんでたのかなって思ったんですけどね。
EBIさんはどうでした?一昨年話を聞いた時に「色んなこと民生にやらされてたけど、今ならその面白さが分かる」みたいな話をされてましたよね。
確かに、当時は余裕がなかったですよね。ベースを弾いているだけでは済まされないバンドでしたし。
奥田さんがやらせてたって話ですよね。
別に命令してたわけじゃない(笑)。アイディアを出し合う中で、「しよう」って言ったのかもしれないですけどね。(ユニコーンは)5人ですけど、他にもスタッフがいて、みんな込みで色々アイディアを出し合ってるから、とっちらかったまま進む感じがわりと面白かったよね。
ただ、そのアイディアを100%自分が理解してたかっていうと疑問で。それがレコーディングまでの15年の中で、「あぁ、民生はこういうことやりたかったんだ」って思えるようになったというかね。
きっと言った本人もそこまで考えてなかったと思うけど(笑)。
計算はしてない(笑)。けどね、今回EBIはリクエストしたらすぐ出来ちゃう。
例えば、「BLACKTIGER」の犬声とかも?
あれね(笑)。
最初からあの音が鳴ってたかのような絶妙さでしたね。
EBIは元々すごく練習するんだけど、叫びも練習するんだよ。
根がマジメなんで(笑)。まぁ、楽しみながら頑張りました。
手島さんは、作業の中で改めて感じたことや印象に残ってること、ありますか?
あのね、昔と比べて「これやってみようぜ」って時に「ちょっと待って」ってことがないんですよ。アイディアが浮かんだらパッとやれるので。そういう時間は短縮されたと思いますね。ただ、他の現場じゃあんまり許されないと思いますけど、「これ録り直そうぜ」って一から変えたり、そういうことはあったり。その辺が良いとこだと思うし、替わってないとこだと思います。年月によって削ぎ落としたものと増えたものがあるんですよ。
失ったものとついてしまったもの?
髪とぜい肉(笑)?
またそんな(笑)。でも確かに、DVDの中でも色々とアイディアが出てどんどん変わっていく様が映ってましたよね。
変わったと言えば、何て言っても「キミトデカケタ」ですよね。毎日、来るとまずやってみて。でもなかなか民生のOKが出なくて。
俺のOK!?別に俺が決めてるわけじゃないけども、歌詞とかもいつの間にか変えてるしさ、「この詞じゃない方が良いよぉ!」って言ってまた戻ったりして。だからずっとハテナマーク付いたままだったんだよね。最初からピコピコって音とかがあれば良かったんだけど、あまりにも行き当たりばったりのスタートだっただけに、そうなってしまったという。
ピコピコが増えてから見えてきたね。
やっぱ、Perfumeに勝たないと。
同郷ですからね。まぁそれは印象に残ってて。あと、印象深いことと言えば、EBI君の歌う時の手ですね。
レコーディング中わりと流行ったね。阿部は良くやってたじゃん?
女性のソウルシンガーとかよくやるじゃない?あんなイメージなんじゃないですかね。
まぁ、聴く人に届くようにとか、音程とか、そういうイメージでやってたんですけど、もう止めました(笑)。
テンション高いレコーディングですよね、しかし。常に笑ってる、みたいな。
だからね、帰る車の中ですっごい疲れてるんですよ。
みんな早く帰りたがる(笑)。
反動が来ると(笑)。まぁ、そんな作業から生まれたアルバム『シャンブル』ですけども、タイトルはさっき話に出たお店の名前ということで。
何でも良かったんですよ。「何にも出なかったら“シャンブル”になっちゃうぞ」とか言ってたら、ホントになったっていう。
色々出たけどヘンなのばっかりでしたから。良いんじゃないですか。
そして、今作を引っ提げての久々のツアー【蘇える勤労】も3月からスタートしますね。
ライヴは、EBIが泣くんですよ。
ライヴ頭でね。
だから、1曲目はEBIがヴォーカルの曲にしようよ、とかね。歌えないから(笑)。
あ〜、何か賞取った時みたいになってるわけだ。
えーっ(笑)。でも感動はするでしょうね。
テレビとかでもう演奏はしてますけど、また違った感覚なんですかね。
そこで泣いてないんだし、別に泣かないと思うよ?とか言って、実は始まったら残りの4人が泣きまくってたりして。
それでなくても今回のアルバムは、何曲か涙腺のゆるむ曲がありますから。あ、個人的にね。危険ですね。
あげくライヴ中止になったりして。
アッハッハッハッハッ!