人材派遣業界が総崩れ、相次ぐ撤退・赤字転落(1) - 09/05/19 | 06:00

 人材サービスのフルキャストホールディングスは5月8日、製造派遣と技術者派遣分野から撤退すると発表した。今2009年9月期中に事業売却を行う方針だ。

 「これまで全方位的な拡張方針を採ってきたが、選択と集中を徹底する」。半年ぶりに表舞台に現れた平野岳史会長はこう語り、縮小均衡を図る新3カ年計画を示した。今後は、日雇い派遣と新規事業の営業業務請負に経営の軸をシフトする。平野会長は「(日雇い派遣では)当社は唯一の全国展開を行っているオンリーワンプレーヤー」と力を込めた。が、その日雇い派遣で度重なる労働者派遣法違反を犯し、厚生労働省から二度の事業停止命令を受けて経営が傾いたのは周知の事実。同社が昨秋に日雇い派遣からの撤退を発表し、同時期に純粋持ち株会社に移行したのもイメージ払拭を狙ったものだ。

 それでも今回、日雇い派遣に“回帰”せざるをえなかった背景には、撤退を決めた製造派遣、技術者派遣を取り巻く厳しい事業環境がある。

業界の雄が赤字転落

 昨秋以降、大手製造業による大規模な「派遣切り」が社会問題化した。業界団体推計でおよそ40万人の派遣労働者が職を失ったとされる製造派遣(請負含む)は、すでに業界存亡の淵にある。

 業界大手の日総工産では、稼働人員が最盛期の2・5万人から6割以上減っているという。中堅のワールドインテックアウトソーシングも、1〜3月の四半期決算でそろって営業赤字に転落。ワールドインテックは昨年9000人を超えた製造派遣スタッフが、今年3月には3600人にまで落ち込んでいる。かつて最大手だったラディアホールディングス(旧グッドウィル・グループ)も同事業からの全面撤退を決めている。




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