【SS】『雲に架かる虹〜曾根崎心中異聞〜』
JUGEMテーマ:VOCALOIDシリーズ
こっそりぬるぽならぬリハビリ企画第四弾デP様の『曾根崎心中』を元に勝手にガーガー書いてみました。
2ちゃんねるで「曾根崎心中のSS書きたい」ってのが目に入ってNHKで『曽根崎心中』のドキュメントやってたりヤケに絡むんで…
つっても書物の部分はほとんど書かずプロローグネタだし、しゃべりが現代語だし〜。
だってミクやリンちゃんに『御意』とか言ってほしくないし。
果たして『曽根崎心中』の名を借りてよいものか…(^_^;)
まぁプラン9が演じてたり、フラメンコだったりするしね。広い気持ちでお願いします<m(__)m>
全然関係ないケド文献読んで思ったんですがお初ちゃんかなり気の強い印象が…
ツンデレだツンデレ…(^_^;)
元禄8年長月…
「ふわぁーっお初お姉ちゃん雲に虹がっ!」
「彩雲って言うんだよ。此処を登ると時々現れるの。蜜柑くれたお礼だよ♪」
「ああ、『種が無ぇと子宝ができないみてえで縁起悪い』てんでもらったんだこんなに旨ぇのに」
手を取り十津川の高台に登った二人の幼子が目にしたものは鈍色の雲に帯状の七色の光。
少女はその光に届けと澄んだ声で歌を紡いでいく…
隣にいる2つ下の少女は空に溶けてく透き通った歌声を瞬きをも忘れて聞き入った。
「ねぇ…おっきくなったら私達どうなっちゃうのかなぁ…」
「え?……ン〜まぁ弟は丁稚に出されるけど…
私もお初お姉ちゃんも女だからお嫁にいくまでずっと一緒だよっ!」
「…そうだね……」
「ねぇっお姉ちゃんっ明日もここでお歌教えてっ!」
「…いつも虹が架かってわけじゃないよ〜?」
「架かるよっ!!だからお姉ちゃん約束っ!」
少女は目映い雲に架かる虹はやがて儚く消えると知らず耀き続ける虹を自分達の未来と重ねていた…
翌日…お初は身売りされるとも知らず…
―――『雲に架かる虹〜曾根崎心中異聞〜』―――
元禄16年睦月。
「う…うぅ〜目が回るぅ〜酔いつぶれたぁ〜」
夜の帳が降りた外は漆黒に染まり、吊行灯の灯りは柔らかく闇を裂く。
ぼんやり遊廓の天井を眺めていると手を握られてる感触に気付き、視線を移す。
「はぅわ!…お初お姉ちゃんっ」
少女は急激に顔が熱くなり、慌てて手を引っ込めた。
「はい、酔い醒まし。どうしたの?…普段お酒飲まないのに…」
お初は軽くため息を吐いてなにかを少女の口に運ぶ。
少女の好きな清々しい香りと溢れ出す酸味と甘味が調和した味わい。 蜜柑だ。
「…ゴメン…ちょっと調子に乗りスギだよね〜前から呑んでみたくてさ…」
年月が流れ二人は再び出逢い、2つ下の少女は空白の時間を取り戻すかのように歌や遊びを教わった。
ただ…2つ下の少女は病死した弟 『徳兵衛』と名乗り内本町醤油商平野屋の手代として生き、
身売りされていたお初は大坂蜆川新地天満屋のかかえ遊女として生きていた。
「…知ってたの?身請けの話…」
お初の言葉に少女は身体を強ばらせて咄嗟に視線を逸らす。
身請けとは身代金を支払い稼業を辞めさせる事である。
身請けの後に自分の妻、または妾にするのが普通であった。
「昨日も酔いつぶれて凍え死にそうになってたそうじゃない…今みたいな姿、見てられないよ…」
「…」
「お酒で打ち消さないで…今の気持ちを正直に言って?」
そこに泣きそうな顔で見つめるお初の顔があった。
「そんなの…そんなの言ったってどうしようもないよ…」
「…」
微かに震える少女の声。
「そんな…反故にしちゃえって言ったら…そうするの…?」
「…そうするよ…」
静かに…静かにお初は答えた。その回答に少女の表情が僅かに歪む。
「そんな……ずっと籠の鳥でいいの?お姉ちゃんはっ…!」
「籠の鳥はね…扉を開けて無理矢理手を伸ばされても啄むだけ…
籠から出せるのは悴んだ心を温めてくれる人じゃなきゃ…
種が無いと無下に捨てず…腐ってた私に優しい気持ちくれた人じゃなきゃ…」
少女は眼を見開きお初を見詰めた。天使のような微笑みを咲かせるお初。
少女が大好きな優しい笑顔だ。
「……何年かかるかわからないよ?手代って言っても丁稚同然だし…」
「うん♪大丈夫だよ♪もう二度と逢えないと思ってた頃に比べたら…」
少女の目の前に濡れた水晶のような瞳があった。
ささくれていた心がじんわり溶かされるような温かい手が頬を包み、そして柔らかな感触に頭の奥がジィンと痺れた…
拡散する意識の中…
8年前にみた彩雲が唐突にフラッシュバックされた。
側で幸せそうに笑ってた幼い頃のお初の顔。
脳裏で今の成熟したお初の姿に変換されていく…
前に進めず終わらせる事も出来ず暗闇の中蹲ってた世界に一条の光がみえていた…。
だが少女は…いや『徳兵衛』は知らない…
二人の恋は思いがけない破滅の淵に沈み、恋に殉じることになるという事を…
その後…
口々に言い立て言い広めた物語は操浄瑠璃となり人々の涙を誘うことなるという事を…
そして…
二人の魂は三百年の歳月を経て天使の歌声と賞されるヴォーカロイドに宿し再び恋におちるという事を…
それは…
来世は一つの蓮に生まれ変われますようにと二人が神仏にたてた願いに等しい…。
「ふわぁーっお初お姉ちゃん雲に虹がっ!」
「彩雲って言うんだよ。此処を登ると時々現れるの。蜜柑くれたお礼だよ♪」
「ああ、『種が無ぇと子宝ができないみてえで縁起悪い』てんでもらったんだこんなに旨ぇのに」
手を取り十津川の高台に登った二人の幼子が目にしたものは鈍色の雲に帯状の七色の光。
少女はその光に届けと澄んだ声で歌を紡いでいく…
隣にいる2つ下の少女は空に溶けてく透き通った歌声を瞬きをも忘れて聞き入った。
「ねぇ…おっきくなったら私達どうなっちゃうのかなぁ…」
「え?……ン〜まぁ弟は丁稚に出されるけど…
私もお初お姉ちゃんも女だからお嫁にいくまでずっと一緒だよっ!」
「…そうだね……」
「ねぇっお姉ちゃんっ明日もここでお歌教えてっ!」
「…いつも虹が架かってわけじゃないよ〜?」
「架かるよっ!!だからお姉ちゃん約束っ!」
少女は目映い雲に架かる虹はやがて儚く消えると知らず耀き続ける虹を自分達の未来と重ねていた…
翌日…お初は身売りされるとも知らず…
―――『雲に架かる虹〜曾根崎心中異聞〜』―――
元禄16年睦月。
「う…うぅ〜目が回るぅ〜酔いつぶれたぁ〜」
夜の帳が降りた外は漆黒に染まり、吊行灯の灯りは柔らかく闇を裂く。
ぼんやり遊廓の天井を眺めていると手を握られてる感触に気付き、視線を移す。
「はぅわ!…お初お姉ちゃんっ」
少女は急激に顔が熱くなり、慌てて手を引っ込めた。
「はい、酔い醒まし。どうしたの?…普段お酒飲まないのに…」
お初は軽くため息を吐いてなにかを少女の口に運ぶ。
少女の好きな清々しい香りと溢れ出す酸味と甘味が調和した味わい。 蜜柑だ。
「…ゴメン…ちょっと調子に乗りスギだよね〜前から呑んでみたくてさ…」
年月が流れ二人は再び出逢い、2つ下の少女は空白の時間を取り戻すかのように歌や遊びを教わった。
ただ…2つ下の少女は病死した弟 『徳兵衛』と名乗り内本町醤油商平野屋の手代として生き、
身売りされていたお初は大坂蜆川新地天満屋のかかえ遊女として生きていた。
「…知ってたの?身請けの話…」
お初の言葉に少女は身体を強ばらせて咄嗟に視線を逸らす。
身請けとは身代金を支払い稼業を辞めさせる事である。
身請けの後に自分の妻、または妾にするのが普通であった。
「昨日も酔いつぶれて凍え死にそうになってたそうじゃない…今みたいな姿、見てられないよ…」
「…」
「お酒で打ち消さないで…今の気持ちを正直に言って?」
そこに泣きそうな顔で見つめるお初の顔があった。
「そんなの…そんなの言ったってどうしようもないよ…」
「…」
微かに震える少女の声。
「そんな…反故にしちゃえって言ったら…そうするの…?」
「…そうするよ…」
静かに…静かにお初は答えた。その回答に少女の表情が僅かに歪む。
「そんな……ずっと籠の鳥でいいの?お姉ちゃんはっ…!」
「籠の鳥はね…扉を開けて無理矢理手を伸ばされても啄むだけ…
籠から出せるのは悴んだ心を温めてくれる人じゃなきゃ…
種が無いと無下に捨てず…腐ってた私に優しい気持ちくれた人じゃなきゃ…」
少女は眼を見開きお初を見詰めた。天使のような微笑みを咲かせるお初。
少女が大好きな優しい笑顔だ。
「……何年かかるかわからないよ?手代って言っても丁稚同然だし…」
「うん♪大丈夫だよ♪もう二度と逢えないと思ってた頃に比べたら…」
少女の目の前に濡れた水晶のような瞳があった。
ささくれていた心がじんわり溶かされるような温かい手が頬を包み、そして柔らかな感触に頭の奥がジィンと痺れた…
拡散する意識の中…
8年前にみた彩雲が唐突にフラッシュバックされた。
側で幸せそうに笑ってた幼い頃のお初の顔。
脳裏で今の成熟したお初の姿に変換されていく…
前に進めず終わらせる事も出来ず暗闇の中蹲ってた世界に一条の光がみえていた…。
だが少女は…いや『徳兵衛』は知らない…
二人の恋は思いがけない破滅の淵に沈み、恋に殉じることになるという事を…
その後…
口々に言い立て言い広めた物語は操浄瑠璃となり人々の涙を誘うことなるという事を…
そして…
二人の魂は三百年の歳月を経て天使の歌声と賞されるヴォーカロイドに宿し再び恋におちるという事を…
それは…
来世は一つの蓮に生まれ変われますようにと二人が神仏にたてた願いに等しい…。