穢れ無き心、漆黒に染まりし刻


<オープニング>


●穢れ無き心、漆黒に染まりし刻
「ふ……ふはは! 皆、みんな死んじゃえぇ!!」
 都会より数時間……とある片田舎の街。
 銀色に輝く日本刀を振りかざしながら、町中を走るのはフードを目元まで被った1人の若者。
「ぇ……ぎゃああ!」
 突如として後ろから斬られたのは、罪もない一般人。
 血飛沫を浴びる若者は、その真紅の色に……静かな笑みを浮かべる。
「もっと、もっとだ……! もっと血を、真紅の血を浴びたいのだ!」
 その言葉に、白銀に輝く剣は血の色へと染まり、次なる標的へと狙いを定めるのであった。
 
「すまへんな、皆集まってくれて。今回の依頼の説明を始めさせて貰うな」
 神丘・崔(高校生運命予報士・bn0103)が、集まった君達に頭を下げながら、依頼の説明を始める。
「今回の依頼は、皆も最近よく聞いているかもしれへんが、メガリスゴーストの依頼や。今回の首謀者……いや、被害者と言った方が間違いは無いかもしれへんが、こいつや」
 そう言いながら、崔は一枚の写真を見せる。
 年の頃20代程の若者。どこか気が弱そうな、そんな気がひしひしと伝わってくる」
「多分……このメガリスゴーストの剣を手に取る迄は、人畜無害な奴だったんやろうな……」
「もう既に、この剣の為に数人被害が出ている。このまま放置しておけば、更なる被害が出てくるのは間違い無いやろう」
 そして更に崔は、辺りの地図を差し出す。自然の一杯ある、多少田舎気味の土地……川が町中を蕩々と流れる所と言えば、一番その言葉が逢うであろう地方都市。
「今回この男が出没しているのは、だいたいこの辺りや。人気の少ない街角だから、さほど足下を気にする必要はあらへんが、町中でドンパチやらかすと何も知らない一般人が出てくる可能性がある。このメガリスゴーストの男を、人目の付き辛い所に引っ張り出す事は必要になるやろう」
「このメガリスゴーストにとりつかれた男……名前は純一と言うらしい。その名前の通り、純粋で穢れ無き心を持っていたんやろうけどな……メガリスゴーストのお陰で全て台無しにされた、と言った所や」
 そこまで言うと、崔は一つ息を付きながら。
「まあ……後はこのメガリスゴーストにつきまとう援護ゴーストの事やが、田舎街という事もあり農業が盛んなようや。それ故、鍬や草刈鎌など、農具を持った住民達が操られて襲撃して来る事が予測される。その数は5、6人程度やと思うが……油断はせんようにして欲しい」
 更に。
「メガリスゴーストは、相手を戦闘不能にした後ならば破壊する事が可能になるという代物や。つまり、戦闘中にメガリスゴーストだけを破壊するような事は出来へん。更にメガリスゴーストと使い手は一心同体な存在で、手を放している隙に壊す……という事も出来へんものや」
「ただ、メガリスゴーストにより操られている一般人は全て魔法的な力で守護されとる。よってダメージを受けることはあらへんし、援護の一般人については戦闘終了後は気絶し、目を覚ませばその気を失っている。更に使い手本人も、自分のやっていた事は覚えているが、皆のような能力者や不思議な現象については記憶も朧になるから、その点は安心して欲しい」
 そして最後に。
「……皆も色々と思うところはあるかもしれへんけど、このまま野放しにしとくのにはやばい案件や。皆がしっかりと依頼をこなして帰ってくる事を期待して待ってるで」
 と告げて頷くのであった。

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参加者
ロクス・シュヴァイツァー(哂う凶弾・b01298)
七儀・唯冬(野火・b02567)
平良・虎信(荒野走駆・b15409)
エレオノーラ・ティルティウム(炎の氷柱・b21026)
桜井・ルカ(ブルーファング・b26721)
清末・一陽(緋色のタナトス・b28931)
鹿島・狭霧(蒼き鋭刃・b34207)
片瀬・斎(白蓮仙弓・b35202)
中茶屋・花子(クィーン囗フラワーチャイルド・b37343)
月影・白虚(白凶・b44058)



<リプレイ>

●血薫る街
 10人の能力者達は、これ以上の被害を防ぐために、この街へとやって来ていた。
 傍から見れば平穏無事な何事も無い街。ここに多くの人を血祭りに上げている男が居る。
「一般人を操るゴーストかぁ……面倒臭い敵が出て来たよね」
 溜息がちに、七儀・唯冬(野火・b02567)が告げると、頷く平良・虎信(荒野走駆・b15409)。
「そうだな! 純粋故に染まりやすいという、解りやすい図解だな! ただ、これ以上剣も心も染めさせる訳にはいかん! 赤く、黒く染まるのは空だけで十分である!」
「百人斬りを求める妖刀……か。物騒にも程があるという物。けど、私達が動く以上はこれまで。これ以上は……一人として斬らせない」
 更にエレオノーラ・ティルティウム(炎の氷柱・b21026)も、静かに意識を固める。
 彼が持つのは……人一人を斬るのは造作でもない……魔の力宿りし妖刀。
「……元々は気の弱い青年だったとしても、刃物と言う物は持つだけで強くなったような気がするものなのです。それが……害を成す方となったとなら、きっちりと始末をつけないといけませんね」
「ええ……メガリスゴースト。相当に危険な存在と言えますわね。でも、放って置く訳にも行かない物。そうしている間にも、罪もない命が散らされて行くのですから……一刻も早く、ゴーストを殲滅する事ですわね!」
 月影・白虚(白凶・b44058)の言葉に、中茶屋・花子(クィーン囗フラワーチャイルド・b37343)の言葉。
「ただ、憑かれた人は加害者なんか被害者なんか……よう解らん事に成ってるなぁ……」
「本当にやりにくい……でも、これ以上被害を出さないようにしなきゃいけないのは変わらないしね」
 桜井・ルカ(ブルーファング・b26721)の言葉に、唯冬が頷く。
「救わなきゃいけねぇんだ、俺達が……何でこんな事にと思ってても、もう事態は動き出してるんだから」
 清末・一陽(緋色のタナトス・b28931)が、己に言い聞かせるが如く呟く。
 被害者はいつも……罪もない人達なのかもしれない。
 そういう人達を救うのも、能力者としての一つの使命……。
「何であろうと……こんな街中で剣を振るわれてはたまったものではありませんね」
「ええ。人目に付かないように誘導しなきゃいけないなんて厄介。おまけに目的地までマラソン。それも命がけの……ね」
 片瀬・斎(白蓮仙弓・b35202)の言葉に、溜息を付く鹿島・狭霧(蒼き鋭刃・b34207)。
 作戦は……先行班、囮班、追尾班の3つの班に別れて行動するという物。
 囮班がメガリスゴーストに囚われた男を引き寄せる中、先行班は前方の一般人達を、追尾班は後方の人払いと連絡を行う……という作戦。
「一応崔から貰った地図で、上手く行きそうな所に丸付けしておいたぜ。今から一緒に下見に行くか」
 ロクス・シュヴァイツァー(哂う凶弾・b01298)の言葉に頷き、能力者達は迎撃ポイントおよび、そこへと向かう道程を確認する。
 時間は経過し、崔の言う出現時間。
 大体夕刻の辺りになると共に、3つの班にそれぞれが別れる。
 相互の班同士で携帯電話を繋ぎっぱなしにし、連絡を取れる事を改めて確認して。
「よし……それじゃ、ゲストをパーティー会場に案内するとしましょ」
 歩き始める狭霧。
「そうだね……あ、一応。今回のターゲットは気の弱そうな青年ですから……もしも四人で固まっていて出てこないならば、2人2チームに別れるとしましょう」
 白虚が最後の作戦を追加すると共に……それぞれ街へと散らばるのであった。

●残る命、求め
 歩き初めて数分。
 激しい爆発音が、平穏な街に鳴り響く。
「……こっちだな!」
 その音のする方へと、急ぎ向かうのは虎信達囮班。
 数秒後……目の前には、嫌な感じに目を光らせ、脇に日本刀を刺した男の姿……。
 周りに一般人の姿が無い事は、偶然と言うべきか……幸福と言うべきか。
「発見。今から囮作戦を開始するわよ」
 狭霧が携帯電話を通じて、先行班に連絡すると共に、目的の遭遇場所までを定める。
 ……その間にも、ゆらり歩く男。能力者達の姿に気付く。
『へへ……獲物がまた来たな……大人しく殺されて貰おうか……!』
「殺す? 何を言っている。殺されるのはお前の方だろう」
「そうだろ。いつもは何も出来ないような弱虫が何を言っているのでしょう」
 虎信と一陽の二人が、男の自尊心を刺激するように挑発の言葉を掛ける。
 男は……その言葉に対し、ふふ……と奇妙な笑みを浮かべたかと思うと。
『俺を良くもまぁそこまでこけに言えるなぁ。力こそ全て、薙ぎ倒してやるぁ!』
 そう言うと共に、男は日本刀を抜く。
 銀色に鈍く輝くその刀……切れ味鋭い物という事が、誰の目から見ても明らか。
「……」
 囮班の四人が頷きあう。そして。
「何を手にしてるんだよ! 危ねえだろう!」
 怯えてみせる虎信。同じく一陽、白虚もその剣の鋭さに対し、恐怖心を露わにする。
「き、聞いてないわよ。こんなに鋭い剣だなんて……!」
「早く逃げましょう、皆」
 そう告げると共に、じり、と一歩後ずさり背中を見せて、一気に逃げ始める四人。
 走る中、虎信が王者の風を使い、一般人の接近を妨害しながら急ぐ。
『ケケケ、待てぇ!!』
 まるで獲物を追う肉食獣が如く、追いかけ始める男。
 ……どうやら足の速さまでは加速されている訳では無く、能力者達とさほどつかず離れずの距離を保ちながら誘導される男。
 途中。
「……威勢がいいだけで追いつく事すらも出来ないのかしら? その有様じゃ、自慢の刀も見てくれだけが取り柄の飾りかしら?」
 狭霧が挑発の言葉を放ち、更に白虚がオトリ弾を使い、その注意を引きつけ続ける。
 同時に、先行班に属するロクス、ルカ、斎、花子の四人は……男からぎりぎり見える位の距離先行し、誘導ルート上の一般人の人払いに走る。
「この道は危ないです、どいてください!」
「死にたくなかったら、道を引き返す事ね!」
 切羽詰まった様子で説得したり、脇道を歩く一般人には。
「すみません、ここに行くにはどうすれば良いのでしょう?」
 と、道を聞く振りをして、足止めと引き返しを狙う。
 一般人の姿はそれ程多く無く、切羽詰まった様子で説得すれば拒否する様な事もなく、道を引き返したり、違う道を選んでくれる街の人達。
 更に最後尾……丁度先行班と囮班の距離と同じ位距離を開けて、唯冬とエレオノーラの二人が最後尾から近づく影は無いか……確認しながら追跡を行う。
 幸いな事に、後方から接近する影は殆ど無い。
 前方の道程は四人がしっかり人払いをし、後方は用心の構えで持って迎え撃つ。
 ……先行誘導と追跡は、それ程苦難する事は無く、メガリスゴーストを持った純一と共に、能力者達は示し合わせた迎撃ポイントへと辿り着いた。

『ケヘヘ……へへ、一杯居るんじゃないか』
 目の前に居並ぶ能力者達の集団。純一は……にやりと笑みを浮かべる。
「……そう言っていられるのも今のうちや。さっさと終わらせようやないか」
 そんな彼に対し、ルカはそう言いながら、武器を抜く。
 更に魔弾の射手や、祖霊降臨でそれぞれの強化を行い、戦闘準備を整えると、対しての純一は。
『この刀の錆に出来る奴がこんなに居るとはなぁ……腕が鳴るぜぇ』
 病的な笑みを浮かべる彼。その自信はどこから来るのだろうか……とも思う程に。
「血に飢えたその刃は危険すぎるわ。だから、壊させて貰うわよ」
「……操られて人殺しなんて嫌でしょう。だから、少し我慢してね」
 狭霧と唯冬の言葉。
 すると相手は……続けて手を挙げる。
 それと共に、現れるのは手に包丁等を持った……一般人の者達。
 全てがメガリスゴーストに操られていた。
「……本当に救いようが無い奴やな。何であろうと、このまま放っておく訳にはいかへんから……皆、行くで」
「良し、皆ひれ伏すのだぁぁっ!」
 ルカの言葉に頷き、虎信がブラストヴォイス一般人達の群れの中に放つ。
 更に花子も。
「ふふ……私の想いを抱いて……お逝きなさい!」
 敵の群れにパラノイアペーパーで一掃を放つ中……相手達は何分数が多い。
「本当に数が多いな。まあ、それならそれで倒しがいがあるって言うもんだぜ!」
 さらにロクスが白燐拡散弾、唯冬とエレオノーラの二人が吹雪の竜巻を使い、次々と援護ゴーストの一般人達を巻き込んでいく。
「……援護ゴーストの方は皆に任せて、俺達はメガリスゴーストを相手にしましょうか」
「そうですね……」
 一陽の言葉に白虚とルカは頷き……援護ゴースト達の隙を突いて、一気に純一の下へと接近。
『ほぅ、合間を縫って俺の所まで近づいてくるとはなぁ……でも、結局は同じ事、皆纏めてなぎ倒していってやるぜぇ!』
 そう告げると共に、純一は武器を構え……三人に向けて凪ぐ。
 まるで衝撃波のような剣の風圧に、堪らずその手をクロスして防ぐ。
「くっ!」
 しかし……その状況を狙っての攻撃だったのだろう。次の瞬間、武器を深く懐に構え直すと、一番手近な所にいたルカに一気に接近。
『死ねやぁ!』
 そのまま剣を縦に凪ぐ……斬られる身体からは、血がほとばしる。
「くっ!」
 痛みに僅かに身を引くルカ……即座に後方から斎が。
「今、回復します」
 と、即座に祖霊降臨で回復を施す。
 ……対して純一は、その返り血を浴びた剣に。
『へへ、紅いぜ……この色が好きなんだよなぁ……』
 狂っている……その一言で表されるが如く。
 男は至高の笑みを浮かべると共に、残り一陽と白虚に向けて再び剣を構える。
「……相手は一体。こっちは二人……一斉に行けば不利でしょう」
「そうですね……解りました」
 頷く白虚……そして、接近して紅蓮撃を放つ。
「……喰らわせて貰いますよ」
『へっ……喰らうだぁ?』
 その攻撃を、身を翻しながらかわす彼。しかし、次の瞬間……一陽の炎の魔弾が放たれる。
 上と下両方向をふさがれたその攻撃は……クリーンヒットと迄は行かないものの、確実に命中する。
『くそ……てめぇら、よくもやったなぁq?」
 悔しそうな表情……ただ彼に対しては、まださほどのダメージとはなっていないようである。
「三人で攻撃していても、中々埒が開かないですね。援護の方はどうなのでしょう」
 一陽がちらり周囲を見渡してみる……そこには、3人の援護ゴーストが既に倒れていて。
「残り、後半分! 死ねぇぇ!!」
 大声で叫び続ける虎信のブラストヴォイスが耳障りなものの、確実に1体ずつを仕留めていた。
「……お待たせや。すまん、復帰するで」
 そこに回復から復帰したルカが戻り、再び三人の体制へ。
「……今は倒す事ではなく、凌ぐことを考えましょう。援護ゴーストを倒してからが本番です」
「そうやな……無闇に攻撃してても相手は強い……そないなら、それ用の戦い方をするまでや」
 2人の言葉。援護ゴーストを全て倒すまで、防御優勢にして暫くの間、その機会を待つ。
 数刻後。全ての援護ゴーストを倒した所で……残る仲間達も、純一の下へと接近する。
「よし……後はお前だけだ! 大人しく公算するんだな!」
 虎信の降伏勧告。しかし純一は。
『へっ、何をほざいてるんだ? そんな事ある訳が無いだろうが!』
 剣に囚われた彼を説得しようとも、それは……既に無意味。
「……仕方ない奴だな。一気に仕掛けるぞ」
 エレオノーラの言葉を契機に……それぞれタイミングを合わせ、一斉に攻撃を仕掛ける。
「でりゃぁ!!!」
 全力を込めた虎信の龍尾脚が上部から、そして下方からは白虚の紅蓮撃が放たれる。
 後方にバク転で、その攻撃を回避する中、更に。
「オーッホッホッホ! 脆弱千万! 一瞬千撃! 粉砕☆玉砕☆大殺界ですわぁ!」
 と、花子とロクスのクロストリガーが、的確にその身体を狙う。
 一度攻撃を交わしたその身は、続けざまの攻撃をかわすことが出来ず……その攻撃と共に吹き飛ぶ彼。
「待ち構えていたで。大人しくしろや!」
 ルカ、そして狭霧の至近距離からの全力攻撃が決まる中、更に……唯冬の吹雪の竜巻と、エレオノーラの光の槍。
 ……幾多に重なるこの連続攻撃の前に、純一はなすすべ無く、大ダメージを受ける。
『くそ……!』
「キミ……皆、死んじゃって良いと思っているの?」
 憎しみの言葉を吐く彼に、静かに唯冬が。
「純一クンは、好きな人を殺してまでそんなに独りになりたいの? ……それは寂しいよ、もの凄く」
『五月蠅い……五月蠅い五月蠅い五月蠅いっ!』
 その姿は、まるで駄々っ子の様。
 しかし……彼が幾ら駄々をこねようとも、彼の犯した罪……いや、メガリスゴーストの犯した罪は消えることは無い。
「……。これで、終わり……です」
 哀しそうに告げる斎。そして、エレオノーラの光の槍が……純一の身を穿ったのである。

●手に残りし悪夢
 そして……無事戦いを終えた能力者達は、メガリスゴーストを持つ男の所へ集う。
 気絶した彼の手に鈍く光る日本刀……。
 こいつが、本当にこの男を操っていたのだろうか……。そう思うと、言いも知れぬ恐怖心が生じてくる。
「……っ!」
 その剣を、剣を持って叩き潰すエレオノーラ。
 粉々に砕け散った剣を見て。
「……良し、無事に依頼完遂、って所だな!」
 両腕を組んで、満足げに頷く虎信。
 それに対し、静かに無言で空を見上げるのは一陽と、黙祷をする唯冬。
「……本当にお疲れ様でした。そして……どうか安らかに……」
 そんな黙祷の言葉に、続けて花子、斎も黙祷を捧げて行く。
「命さえあれば、罪は償える物。でも……辛くても生きなさい。それが貴方に課された、貴方が生んだ生者への慰めですわ」
「そう……刃に掛けた人達の分まで生きていて欲しい……」
 命を奪われた罪も無き人達。
 全てはこのメガリスゴーストの剣に囚われた結果だとしても……彼の罪は消える事は無い。
 例え、その記憶が朧気であったとしても……。
「……お前がやりたくてやった事やない事は解っとるつもりや。けど、命を奪った償いはせなあかん……。何やろ、上手く言葉が出てこーへん……」
 気絶し続ける彼に、それ以上の言葉を掛けることも出来無い。
 その言葉にエレオノーラが頷いた……その時。
『グギュウゥウ……』
 ……盛大に鳴り響くのは、エレオノーラのお腹の音。
「……腹が空いたな。途中で地元名産の料理でも食べて帰るとするか」
 顔を赤くする事もなく、素のまま告げるエレオノーラが……ちょっとおかしくて。
「はは、そうだな。よっし、それじゃ行くか!」
 ロクス、エレオノーラの二人を先頭にして、銀誓館学園への帰路へと着く能力者達。
 その帰り道すがら。
「……メガリスって、戦争時は便利だけど、復活中にゴーストを産むなら考え物だよね」
 唯冬の呟きに、誰しもが頷くのであった。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
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いまいち
参加者:10人
作成日:2009/01/17
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