アクノスが出来る前のお話♡
皆様お待たせしました…
今週は色々とありまして…
四苦八苦しながらも、こちらのほうを作成していたのですが
話がよくわからなくなってしまいました。
落ち着いたら手直しするかもしれません…

少女!!
何故こんな路地裏に少女がいるのか?
今週は色々とありまして…
四苦八苦しながらも、こちらのほうを作成していたのですが
話がよくわからなくなってしまいました。
落ち着いたら手直しするかもしれません…
少女!!
何故こんな路地裏に少女がいるのか?
声をかけても薄汚れた少女からは反応がなく、
既に生きてはいないのか、もしくは精巧な人形のように感じられた。
だが微かに聞こえる吐息から、彼女が紛れも無く生きているのが分かった。

「で、何で私のトコロへ来るわけぇ?」
やや不機嫌な口調で神村は言った。
「警察に連れて行こうとすると、すごい嫌がるんだよ…
で、俺の知り合いで一番まともな女性が神村さんだけでして…」
「おー、そうかそうか。見る目があるなお前はー♪」
俺のお世辞に神村は気分を良くしたようだ。
事実、俺の知り合いで一番まともなのが彼女なのは確かだが…
「という事で、俺は犯罪に巻き込まれたくないから預かって欲しいんです」
「おい、私は巻き込まれてもいいってわけ?」
「アンタなら大丈夫でしょ?」
などと会話しながらも、神村も嫌な様子ではない。
「ま、いいわ。預かったげる♪私は神村ローラって言うの。
よろしくね。えーっと…」
「………」
「…………」
少女と言葉のキャッチボールが出来ず、しばしの沈黙。
「…実はさっきからこの子、一言も喋らないんだよね」
「んー、めんどくさ…」
神村のテンションが下がる前に俺は事を起こす。
「それじゃ、後はよろしく」
俺は逃げ出した。
「ちょ、あっ、逃げんな!!」
「………」
「…ま、よろしくね、お嬢ちゃん♪」
次の日…
俺は昨日の侘びにと、神村の好物のプリンを3つ買ってやって来た。
「いやー、昨日は悪かったね神村さん。お詫びにプリン買ってきたから許してね」
勝手に玄関をあけてリビングに入ると、軽やかな足音が俺を迎えてくれた。
昨日と打って変わって精気に満ちた少女が俺に駆け寄ってきた。
俺が「こんばんは」と挨拶すると、少女はペコリと頭を下げた。

「お、気が利いてるじゃない。本来なら血祭りにあげてるトコロだけど、許してあげちゃおう」
プリンに気をよくした神村は、紅茶を淹れるとさっそくプリンに手をつけた。
「で、この子の事なんだけど…」
神村はプリンを食べながら少女について話し始めた。

神村が少女を風呂に入れようと服を脱がせたところ、
少女の身体には無数の青痣があったと言う。
明らかな虐待の痕。
少女が言葉を発しないのも虐待のショックからであろうと神村は言った。
「しかも頻繁に性的暴行もされてるようでね。ちょ〜っと許せないわ」
正直、俺は驚いた。
こんな少女が、というのもあったが一番驚いたのは神村からそんな言葉が出る事だった。
神村は気に入った相手に対して無理矢理性行為を行う悪い癖があるのだが、
性質が悪い事に男だろうが女だろうがお構いなし。
そんな彼女が自分を嫌悪するかのような言い方をするのだから驚かないほうがおかしい。
「神村さんの口からそんな言葉が出るとは思いませんでした」
「私の場合は最初嫌がられても、最後は喜んでくれるからOKなのよ。
でもこの子の場合は最後まで抵抗してるみたい。
お互いが心身ともに気持ち良くなる事が私のジャスティス」
おいおい、俺の気持ちは含まれないわけ?と心で軽く突っ込みながらも
神村の悪びれない態度と言葉に妙に納得してしまった。
しかし、こんな小さな少女がねぇ…
俺なんかよりずっと苦労してるみたいで可哀想に思えてならなかった。
それから一週間後
仕事で神村の所に顔が出せないまま一週間が過ぎた。
少女はどうなったのか電話でもすれば良かったのだが、
神村に電話すると十中八九がお楽しみ中だったりするので電話をせずにいた。
流石に少女には手を出してないと信じつつも、信じ切れない俺。
そんな不安を胸に神村の家に足を運んだ。

「お、久しぶり、さあ、マコちゃん。御挨拶なさいな」
「…あ。…こん、ば、わ」
たどたどしい口調だが、精一杯声を絞って挨拶する少女。
俺はそんな少女がとても可愛らしく見えた。
「こんばんは。キミ、マコちゃんって言うのか」
少女は名前を呼ばれると顔を真っ赤にして神村の後ろへ隠れた。
最初は人形のような感情の無い少女だったが、今はシャイな女の子って感じだな。
「マコちゃん、随分落ち着いてきたみたいだね。
初めて会った時とは別人みたいに明るくなってるし」
「これでも教師ですから(キリッ」

そう言えば教師だったな…、と思ったが口には出せなかった。
次の日、仕事が休みだったので朝から神村の家に遊びに行った。
神村とマコはリビングでテレビを見ていた。
「お、二人して何見てんだ?」
「超天戦士・エンジェルギャザー!!喰らえエンジェルシュート!!」
神村が振り向き様に俺のみぞおちに拳をめり込ませた。
俺は意識を失った。

どうやらマコちゃんは特撮モノのエンジェルギャザーがお気に入りらしい。
助けを呼ぶ声があれば、どこからともなく現れて悪を倒す。
御都合主義のコテコテヒーローモノだが、彼女にはそれが良いようだ。
「女の子にしては特撮が好きなんて珍しいね」
「うん…」
マコちゃんは小さく返事をすると、再びテレビに視線を戻した。
彼女の境遇を考えれば、ヒーローに助けてもらいたい気持ちはわからないでもない。
だけど、この世にそんなヒーローなんていない。
居ればマコちゃんがここにいるわけがないからだ…
結局、その日は夜遅くまでレンタルした
エンジェルギャザーのビデオを読破するだけで終わった。
マコちゃんは飽きることなく楽しんでいたようだが、
俺は毎回同じパターンのお話に飽き飽きしつつ、彼女の笑顔を見る事で満足していた。
「それじゃ、そろそろ帰るね。神村、マコちゃん、またねー」
「またねー」
「今度はプリン持ってきてねー」

俺がマコちゃんの優しい笑顔を見たのは、これが最後だと思う。
次の日、神村とマコちゃんはショッピングをしに行ったそうだ。

二人でお喋りしながら河原を歩いていた時、不幸は突然やって来た。

「あら、一瞬誰だかわからなかったけど…マン…、マコちゃん捜したのよー?」

マコちゃんは神村の後ろにすかさず隠れると、カタカタと小さく震えたそうだ。
そんなマコちゃんの様子を見た神村はすぐに理解した。
この女はマコちゃんの虐待に関与してる。
女はマコちゃんの義理の母親だと名乗り、彼女を返すように言ったそうだが
神村はもちろんそれを拒否した。
意外な事に女はすぐに手を引いたが、諦めたわけではなかった。
神村とマコちゃんが帰宅後、警察がやって来てマコちゃんを連れて帰ったそうだ。
あろう事か俺と神村は誘拐犯にされてしまっていて、何日も拘留された。
俺はマコちゃんへの虐待の話などを警察にしたのだが、
何故通報しなかったのか等、逆に俺が尋問されてしまい、
さらに虐待は俺達がやったんだろう、とまで言われた。

「何、逃げ出したりしてんだよ!!オラァ!!」
男は少女の背中を思い切り蹴り上げた。
「マンコちゃん、逃げちゃダメでしょ〜?
アタシもお父さんもすっごい心配したんだよ〜?
家出をした悪い子には、お仕置きしなきゃね!!」
女も男と一緒に少女の小さな身体を思い切り蹴り飛ばす。
「まったく、黙って股開いて客を喜ばせてりゃいいのに、お前はッ!!!」
「アンタがいないと私達が困るでしょうが!!」
非力な少女は只々耐えるしかなかった。
少女の脳裏にある映像が鮮明に蘇る。

それは助けを呼ぶ声がする所に颯爽と現れ、悪を蹴散らす正義のヒーローの姿だった。
「…たすけて…」
少女は小さく呟いた。
それが男と女の怒りをさらに燃え上がらせ、少女に暴力としてかえってくる。

一向に終わない暴行。
何故ヒーローは自分を助けに来てくれないのか?
「ヒーローなんていない」
少女の瞳からは涙がポロポロとあふれ出た。
「ヒーローなんていないんだ!」

次の瞬間、少女の身体から爆ぜるような力が放たれた。

俺と神村はマコちゃんの消息が掴めぬまま、神村の家にいた。
神村は警察の長時間の拘束が堪えたのか、ヒトの擬態を解いて俺の前で寛いでいる。
黒い角と蝙蝠の羽の生えた彼女の姿は、禍々しくも妖艶であった。
知り合いとは言え、ヒトでない姿で目の前に居られると若干恐怖というものがある。
だが、今は恐怖よりも彼女に対する怒りの方が強かった。
「お前に頼めば安全だと思ったのに、どうしてマコちゃんを手放したりしたんだよ?」
「だいじょ〜ぶよ。マコちゃんは無事だと思うから♪」
「何で大丈夫だってわかる?」
「んふふ、私だって淫魔の端くれですわよ?
あんだけ淫魔と長期間一緒に居たら、多少影響を受けるはずだもん♪」
「つまり、マコちゃんもお前みたいになるって?」
「あったり〜♡
でも、マコちゃんは心を開いてくれるだけで
その気にはなってくれなかったけどね♪」
ちょっと残念、と言う顔をしながら神村は笑った。
「何かきっかけがあれば、マコちゃんにも変化があると思うんだぁ♡
それが良い結果になるか悪い結果になるかは分からないけどねぇ〜♪」
「きっかけねぇ…。
お前の影響受けて化け物になるって知ってれば預けなかったよ…」
「今頃マコちゃんどうしてるかなぁ〜?
んふふふ、アンタはマコちゃんがどっちに変化すると思う?
正義のヒーローか、アンタの言う化け物か…」

「ね、ね、ねぇ、話し合おうよ。もうアンタの事、虐めないからさ…
もうアンタに関わらないからさ!!」
女は腰の抜けた身体を、足をバタつかせながら逃げようとしていた。
その女にゆっくりと近寄る少女の影…
「…たすけて、ほしい?」
少女の呟くような声。
「た、助けてください!お願いします!お願いします!!」
必死に哀願する女。
「もっと必死に助けを呼べば、ヒーローが助けてくれるかもしれないよ?
ほら、もっと叫ばなきゃ…」
少女が一歩前に踏み出す。
「い、いや、た、たすけ、たすけてええええええぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!」

マコちゃんはどうしてヒーローではなく、悪の道を選んだのか?
俺はこう思っている。
巨大な悪が現れれば、どこからともなく正義の心を持った超人が現れ悪を滅ぼしてくれる。
現に我が社が設立して以来、ヒーローと呼ばれる超人達が多く世に出てきた。
我が社と関係のない、人ならざる者を従えた悪の組織も現れ
世界中で正義と悪の戦いが繰り広げられるようになった。
それは彼女が夢にまで待ち望んでいた世界。
マコちゃんは、いつかヒーローがあの時の自分を救ってくれると信じているのかもしれない。
補足と説明
今回はアクノス社が出来る前のお話しと言う事で
世界中にヒーローや怪人が存在はするものの
表立って活動していない時代のお話を作ってみました。
(都市伝説や怪談のレベル)
神村さんは怪人ではなく、淫魔という種族で人間に擬態して生活しています。
別に人類をどうこうしようとかそんな事は考えておらず、
自分が楽しいセックスライフが送れれば良いと言うヒトです。
さて、マコちゃんがどうなったのか…
実は話は作ってあるのですが、思ったより話が長くなってしまったので
別の話に登場してもらう予定です。
それと、主人公の男は所長になる前の所長(笑)です。
正直な話、植物のような平穏な暮らしを、神村に狂わされた被害者ですね(笑)
既に生きてはいないのか、もしくは精巧な人形のように感じられた。
だが微かに聞こえる吐息から、彼女が紛れも無く生きているのが分かった。
「で、何で私のトコロへ来るわけぇ?」
やや不機嫌な口調で神村は言った。
「警察に連れて行こうとすると、すごい嫌がるんだよ…
で、俺の知り合いで一番まともな女性が神村さんだけでして…」
「おー、そうかそうか。見る目があるなお前はー♪」
俺のお世辞に神村は気分を良くしたようだ。
事実、俺の知り合いで一番まともなのが彼女なのは確かだが…
「という事で、俺は犯罪に巻き込まれたくないから預かって欲しいんです」
「おい、私は巻き込まれてもいいってわけ?」
「アンタなら大丈夫でしょ?」
などと会話しながらも、神村も嫌な様子ではない。
「ま、いいわ。預かったげる♪私は神村ローラって言うの。
よろしくね。えーっと…」
「………」
「…………」
少女と言葉のキャッチボールが出来ず、しばしの沈黙。
「…実はさっきからこの子、一言も喋らないんだよね」
「んー、めんどくさ…」
神村のテンションが下がる前に俺は事を起こす。
「それじゃ、後はよろしく」
俺は逃げ出した。
「ちょ、あっ、逃げんな!!」
「………」
「…ま、よろしくね、お嬢ちゃん♪」
次の日…
俺は昨日の侘びにと、神村の好物のプリンを3つ買ってやって来た。
「いやー、昨日は悪かったね神村さん。お詫びにプリン買ってきたから許してね」
勝手に玄関をあけてリビングに入ると、軽やかな足音が俺を迎えてくれた。
昨日と打って変わって精気に満ちた少女が俺に駆け寄ってきた。
俺が「こんばんは」と挨拶すると、少女はペコリと頭を下げた。
「お、気が利いてるじゃない。本来なら血祭りにあげてるトコロだけど、許してあげちゃおう」
プリンに気をよくした神村は、紅茶を淹れるとさっそくプリンに手をつけた。
「で、この子の事なんだけど…」
神村はプリンを食べながら少女について話し始めた。
神村が少女を風呂に入れようと服を脱がせたところ、
少女の身体には無数の青痣があったと言う。
明らかな虐待の痕。
少女が言葉を発しないのも虐待のショックからであろうと神村は言った。
「しかも頻繁に性的暴行もされてるようでね。ちょ〜っと許せないわ」
正直、俺は驚いた。
こんな少女が、というのもあったが一番驚いたのは神村からそんな言葉が出る事だった。
神村は気に入った相手に対して無理矢理性行為を行う悪い癖があるのだが、
性質が悪い事に男だろうが女だろうがお構いなし。
そんな彼女が自分を嫌悪するかのような言い方をするのだから驚かないほうがおかしい。
「神村さんの口からそんな言葉が出るとは思いませんでした」
「私の場合は最初嫌がられても、最後は喜んでくれるからOKなのよ。
でもこの子の場合は最後まで抵抗してるみたい。
お互いが心身ともに気持ち良くなる事が私のジャスティス」
おいおい、俺の気持ちは含まれないわけ?と心で軽く突っ込みながらも
神村の悪びれない態度と言葉に妙に納得してしまった。
しかし、こんな小さな少女がねぇ…
俺なんかよりずっと苦労してるみたいで可哀想に思えてならなかった。
それから一週間後
仕事で神村の所に顔が出せないまま一週間が過ぎた。
少女はどうなったのか電話でもすれば良かったのだが、
神村に電話すると十中八九がお楽しみ中だったりするので電話をせずにいた。
流石に少女には手を出してないと信じつつも、信じ切れない俺。
そんな不安を胸に神村の家に足を運んだ。
「お、久しぶり、さあ、マコちゃん。御挨拶なさいな」
「…あ。…こん、ば、わ」
たどたどしい口調だが、精一杯声を絞って挨拶する少女。
俺はそんな少女がとても可愛らしく見えた。
「こんばんは。キミ、マコちゃんって言うのか」
少女は名前を呼ばれると顔を真っ赤にして神村の後ろへ隠れた。
最初は人形のような感情の無い少女だったが、今はシャイな女の子って感じだな。
「マコちゃん、随分落ち着いてきたみたいだね。
初めて会った時とは別人みたいに明るくなってるし」
「これでも教師ですから(キリッ」
そう言えば教師だったな…、と思ったが口には出せなかった。
次の日、仕事が休みだったので朝から神村の家に遊びに行った。
神村とマコはリビングでテレビを見ていた。
「お、二人して何見てんだ?」
「超天戦士・エンジェルギャザー!!喰らえエンジェルシュート!!」
神村が振り向き様に俺のみぞおちに拳をめり込ませた。
俺は意識を失った。
どうやらマコちゃんは特撮モノのエンジェルギャザーがお気に入りらしい。
助けを呼ぶ声があれば、どこからともなく現れて悪を倒す。
御都合主義のコテコテヒーローモノだが、彼女にはそれが良いようだ。
「女の子にしては特撮が好きなんて珍しいね」
「うん…」
マコちゃんは小さく返事をすると、再びテレビに視線を戻した。
彼女の境遇を考えれば、ヒーローに助けてもらいたい気持ちはわからないでもない。
だけど、この世にそんなヒーローなんていない。
居ればマコちゃんがここにいるわけがないからだ…
結局、その日は夜遅くまでレンタルした
エンジェルギャザーのビデオを読破するだけで終わった。
マコちゃんは飽きることなく楽しんでいたようだが、
俺は毎回同じパターンのお話に飽き飽きしつつ、彼女の笑顔を見る事で満足していた。
「それじゃ、そろそろ帰るね。神村、マコちゃん、またねー」
「またねー」
「今度はプリン持ってきてねー」
俺がマコちゃんの優しい笑顔を見たのは、これが最後だと思う。
次の日、神村とマコちゃんはショッピングをしに行ったそうだ。
二人でお喋りしながら河原を歩いていた時、不幸は突然やって来た。
「あら、一瞬誰だかわからなかったけど…マン…、マコちゃん捜したのよー?」
マコちゃんは神村の後ろにすかさず隠れると、カタカタと小さく震えたそうだ。
そんなマコちゃんの様子を見た神村はすぐに理解した。
この女はマコちゃんの虐待に関与してる。
女はマコちゃんの義理の母親だと名乗り、彼女を返すように言ったそうだが
神村はもちろんそれを拒否した。
意外な事に女はすぐに手を引いたが、諦めたわけではなかった。
神村とマコちゃんが帰宅後、警察がやって来てマコちゃんを連れて帰ったそうだ。
あろう事か俺と神村は誘拐犯にされてしまっていて、何日も拘留された。
俺はマコちゃんへの虐待の話などを警察にしたのだが、
何故通報しなかったのか等、逆に俺が尋問されてしまい、
さらに虐待は俺達がやったんだろう、とまで言われた。
「何、逃げ出したりしてんだよ!!オラァ!!」
男は少女の背中を思い切り蹴り上げた。
「マンコちゃん、逃げちゃダメでしょ〜?
アタシもお父さんもすっごい心配したんだよ〜?
家出をした悪い子には、お仕置きしなきゃね!!」
女も男と一緒に少女の小さな身体を思い切り蹴り飛ばす。
「まったく、黙って股開いて客を喜ばせてりゃいいのに、お前はッ!!!」
「アンタがいないと私達が困るでしょうが!!」
非力な少女は只々耐えるしかなかった。
少女の脳裏にある映像が鮮明に蘇る。
それは助けを呼ぶ声がする所に颯爽と現れ、悪を蹴散らす正義のヒーローの姿だった。
「…たすけて…」
少女は小さく呟いた。
それが男と女の怒りをさらに燃え上がらせ、少女に暴力としてかえってくる。
一向に終わない暴行。
何故ヒーローは自分を助けに来てくれないのか?
「ヒーローなんていない」
少女の瞳からは涙がポロポロとあふれ出た。
「ヒーローなんていないんだ!」
次の瞬間、少女の身体から爆ぜるような力が放たれた。
俺と神村はマコちゃんの消息が掴めぬまま、神村の家にいた。
神村は警察の長時間の拘束が堪えたのか、ヒトの擬態を解いて俺の前で寛いでいる。
黒い角と蝙蝠の羽の生えた彼女の姿は、禍々しくも妖艶であった。
知り合いとは言え、ヒトでない姿で目の前に居られると若干恐怖というものがある。
だが、今は恐怖よりも彼女に対する怒りの方が強かった。
「お前に頼めば安全だと思ったのに、どうしてマコちゃんを手放したりしたんだよ?」
「だいじょ〜ぶよ。マコちゃんは無事だと思うから♪」
「何で大丈夫だってわかる?」
「んふふ、私だって淫魔の端くれですわよ?
あんだけ淫魔と長期間一緒に居たら、多少影響を受けるはずだもん♪」
「つまり、マコちゃんもお前みたいになるって?」
「あったり〜♡
でも、マコちゃんは心を開いてくれるだけで
その気にはなってくれなかったけどね♪」
ちょっと残念、と言う顔をしながら神村は笑った。
「何かきっかけがあれば、マコちゃんにも変化があると思うんだぁ♡
それが良い結果になるか悪い結果になるかは分からないけどねぇ〜♪」
「きっかけねぇ…。
お前の影響受けて化け物になるって知ってれば預けなかったよ…」
「今頃マコちゃんどうしてるかなぁ〜?
んふふふ、アンタはマコちゃんがどっちに変化すると思う?
正義のヒーローか、アンタの言う化け物か…」
「ね、ね、ねぇ、話し合おうよ。もうアンタの事、虐めないからさ…
もうアンタに関わらないからさ!!」
女は腰の抜けた身体を、足をバタつかせながら逃げようとしていた。
その女にゆっくりと近寄る少女の影…
「…たすけて、ほしい?」
少女の呟くような声。
「た、助けてください!お願いします!お願いします!!」
必死に哀願する女。
「もっと必死に助けを呼べば、ヒーローが助けてくれるかもしれないよ?
ほら、もっと叫ばなきゃ…」
少女が一歩前に踏み出す。
「い、いや、た、たすけ、たすけてええええええぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!」
マコちゃんはどうしてヒーローではなく、悪の道を選んだのか?
俺はこう思っている。
巨大な悪が現れれば、どこからともなく正義の心を持った超人が現れ悪を滅ぼしてくれる。
現に我が社が設立して以来、ヒーローと呼ばれる超人達が多く世に出てきた。
我が社と関係のない、人ならざる者を従えた悪の組織も現れ
世界中で正義と悪の戦いが繰り広げられるようになった。
それは彼女が夢にまで待ち望んでいた世界。
マコちゃんは、いつかヒーローがあの時の自分を救ってくれると信じているのかもしれない。
補足と説明
今回はアクノス社が出来る前のお話しと言う事で
世界中にヒーローや怪人が存在はするものの
表立って活動していない時代のお話を作ってみました。
(都市伝説や怪談のレベル)
神村さんは怪人ではなく、淫魔という種族で人間に擬態して生活しています。
別に人類をどうこうしようとかそんな事は考えておらず、
自分が楽しいセックスライフが送れれば良いと言うヒトです。
さて、マコちゃんがどうなったのか…
実は話は作ってあるのですが、思ったより話が長くなってしまったので
別の話に登場してもらう予定です。
それと、主人公の男は所長になる前の所長(笑)です。
正直な話、植物のような平穏な暮らしを、神村に狂わされた被害者ですね(笑)
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No title
よく「げんじつにはヒーローなんていないんだよ」を掲げるネタは数ありますが、それをこちら流に逆手に取る手法は見事でかつ悲しさを感じます。
もしかするとこの場合の「救う」は「討つ」事になるのかも知れませんが、悪堕ち云々はともかく、盛大に切ない話ですね…。
と言うよりふと悪堕ちと言うジャンルそのものもどこか複雑な立ち位置に思えてしまったり…?
もしかするとこの場合の「救う」は「討つ」事になるのかも知れませんが、悪堕ち云々はともかく、盛大に切ない話ですね…。
と言うよりふと悪堕ちと言うジャンルそのものもどこか複雑な立ち位置に思えてしまったり…?
救いを求めて魔に堕ちたわけですね。
研究所の前にしては、方向性が随分違いますが魔の全てを悪に置かない配置は僕は好きです。
研究所の前にしては、方向性が随分違いますが魔の全てを悪に置かない配置は僕は好きです。
No title
>カギヤッコ様
マコちゃんの心情をもっと細かく表現したかったのですが、
文章力のない自分ではこれが精一杯でした。
>悪堕ちと言うジャンルそのものもどこか複雑な立ち位置に思えてしまったり…?
洗脳や快楽で堕とすのも悪堕ちですが、
悲しい要因で悪の道に堕ちねばならず、
そこから後戻り出来ないのも悪堕ちだと思っています。
なので、マコちゃんは生い立ちからして悪堕ちする要素を持ってたりしたんですねw
>神代☆焔さま
マコちゃんは自分が悪役になることで、
自分が憧れているヒーローの出現を望んでいるのですが、
ヒーローからしてみればマコちゃんは人殺しの怪人でしかないわけで…
今回の話はヒーローに倒される存在がどうしてその道に走ったのか
それを自分なりに考えて作ってみました。
後半は息切れして文章がボロボロですがw
マコちゃんの心情をもっと細かく表現したかったのですが、
文章力のない自分ではこれが精一杯でした。
>悪堕ちと言うジャンルそのものもどこか複雑な立ち位置に思えてしまったり…?
洗脳や快楽で堕とすのも悪堕ちですが、
悲しい要因で悪の道に堕ちねばならず、
そこから後戻り出来ないのも悪堕ちだと思っています。
なので、マコちゃんは生い立ちからして悪堕ちする要素を持ってたりしたんですねw
>神代☆焔さま
マコちゃんは自分が悪役になることで、
自分が憧れているヒーローの出現を望んでいるのですが、
ヒーローからしてみればマコちゃんは人殺しの怪人でしかないわけで…
今回の話はヒーローに倒される存在がどうしてその道に走ったのか
それを自分なりに考えて作ってみました。
後半は息切れして文章がボロボロですがw