瀬奈じゅんトートと3人3様ルドルフで超満員 月組公演「エリザベート」
ミュージカル「エリザベート」でルドルフ皇太子を演じる遼河はるひ(左)とトートを演じる瀬奈じゅん(C)宝塚歌劇団 |
ルドルフ皇太子役はこれまで轟悠、紫吹淳、湖月わたる、瀬奈、霧矢大夢、音月桂とそうそうたるメンバーが演じてきた。トリプルキャストというのは今回が初めての試み。
遼河は、見る前は1メートル74という長身ということでナイーブな皇太子というイメージにやや違和感があったが、独特の張りのある声が、瀬奈のハスキーボイスとよくあって、危うくセクシーな感じがよくでていた。東宝版でも伊礼彼方など最近は長身のルドルフが多くなってきたようだ。
青樹ルドルフは、ビジュアル的に軍服姿がぴったりなうえ、どこかはかなげな感じがあって、正統派プリンスというにふさわしい。歌唱もクリアで予想以上の収穫だった。
明日海は、3人のなかでは一番小柄で、瀬奈トートとは身長的には一番しっくりきた感じ。ビジュアル的にも美しく気品があり、歌唱のハーモニーもぴったりで何よりフレッシュでルドルフ皇太子という役どころには一番合っているように思った。
3人3様のルドルフで甲乙つけがたいが、人気の高さとなると明日海が一番のようだ。
ルドルフ以外の時は遼河が革命家エルマー、青樹がエルマーとシュテファン、明日海がシュテファンを演じ分けているが、ここはやはり遼河のエルマーが一日の長を感じた。
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肩を出した黒いドレスで登壇した安蘭は、退団後1カ月もたたないのに男役からすっかり女性に戻った雰囲気。「お話を頂いたとき、おもわず”イエス・アイ・キャン”と答えた」と笑わせながら「宝塚時代に好きな役と聞かれた時、男役だったのにアイーダと答えるほどだった。いろんな意味でターニングポイントになった役だった」と話し、運命的な出会いに感慨深げだった。
宝塚版「王家に捧ぐ歌」はラダメスが主役だったが、これをもとにアイーダを主役にして書き直し、新曲も3曲ほど加えるという。
共演のラダメス役の伊礼彼方が「男としてのかっこよさを安蘭さんから教えてもらって頑張りたい」というと安蘭は「私は厳しいわよ」と笑わせていた。またアムネリス役のANZAは、部屋にポスターを貼っているというほどの「安蘭さんの大ファン」と告白。「共演できるなんて」と頬を赤らめていたのが印象的 だった。
なお、来週更新分はその他のOGを特集します。お楽しみに。(薮下哲司)