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医療ADRってご存じ? トラブル解決スピードアップ 

2009.5.30 20:25

 医療事故などのトラブルを裁判によらずに解決する医療ADR(裁判外紛争解決手続き)の取り組みが広がっている。千葉市では4月に相談センターの業務が始まり、秋には岡山弁護士会も仲裁センターを開設する。民事訴訟で法的責任を追及するには3、4年かかるが、医療ADRは半年程度での和解成立を目指す。費用負担が少ないメリットのほか、医師と患者の話し合いの場としても期待されている。(長島雅子)

 「死亡診断書の内容が納得できない」「薬の過剰投与が死因ではないか」

 千葉市中央区に4月6日、発足した「医療紛争相談センター」。業務開始以降、170件以上の電話相談が寄せられ、面談の予約は2カ月先まで一杯だ。

 センターを運営するNPO法人「医事紛争研究会」の植木哲代表(千葉大教授)は「千葉県の医療安全相談センターには毎年約3000件の相談が寄せられるが、千葉地裁に提訴されるケースは年25件程度。医療に不満があるのに行き場のない人は多い」と語る。

 センターでは、まず電話で相談を受け付ける。調停の申し立てがあれば医師、弁護士、学識経験者の3人が当事者双方から話を聞き、紛争の原因や因果関係を解明。半年をめどに和解の成立を目指す。

 相談は無料だが、調停申し立て手数料は患者側が2万1000円で医療機関側が4万2000円。双方が調停期日ごとに手数料1万500円を支払う。和解額に応じた手数料も必要で100万円の場合は約8万円の費用を折半する。

 9月に運用開始予定の「医療仲裁センター岡山」。岡山弁護士会医療ADR部会長の水田美由紀弁護士は「医療紛争は当事者双方のコミュニケーションギャップが大きく、対話によって解決する問題は多い。説明しても納得してもらえず疲弊している医療側の救済も目的」としている。

 医師会が中心の「茨城県医療問題中立処理委員会」は、全国初の医療ADRとして18年4月に発足。これまでに扱った38件のうち、和解は6件だが、交渉終了後の話し合いで和解が成立したケースもあるという。

 前立腺がん摘出手術の直後に尿が直腸に流出する症状が出た60代の男性が調停を申し立てたケースでは、病院側が調停会議で治療経過を説明し、謝罪。3回の話し合いで男性は納得し、申し立てから9カ月後に和解した。

 同委員会を立ち上げた小沢眼科内科病院の小沢忠彦院長は「これまで防ぎようのない事故を患者に説明する場がなかった。患者と医療者が情報を共有する場が必要だ」と指摘する。

 消毒薬の誤投与で妻を失い、民事訴訟で勝訴した永井裕之さん(68)も「医療側が誠意を持って対応することが大事。そうでなければADRという言葉がひとり歩きするだけだ」と訴える。

 ◇

 ADR Alternative Dispute Resolutionの略。裁判外紛争解決手続きと訳される。交通事故紛争処理センターのように、仲裁、調停、斡旋(あつせん)といった方法で紛争を解決する。平成19年4月に施行されたADR法では、消費者トラブルなど民事上の紛争全般を想定している。

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