●逃げ隠れすると大マスコミの“エジキ”にされるだけ
西松事件で逮捕、起訴された大久保隆規公設秘書(47)が、やっと“塀の中”から出てくることになった。検察側は不服として準抗告したが、それが却下されれば3月3日の逮捕以来、実に80日ぶりのシャバである。
それにしても気になるのが、保釈のタイミングだ。政治資金規正法違反(虚偽記載)という、いわば形式犯の微罪なのに、なぜここまで拘置が長引いたのか。
「完オチしたとされる西松建設の国沢前社長と違い、大久保秘書は一貫して容疑を否認し続けています。小沢サイドは、保釈申請しても検察に潰されるのは必至だから、今月21日まで申請もしていなかった。検察側の捜査材料を見定めていた可能性もあります。16日の民主党代表交代で、機は熟したということでしょう」(永田町事情通)
問題はシャバに出た後だ。検察リークを垂れ流し、小沢叩きを続けてきた大マスコミは、小沢と大久保秘書が逃げれば逃げるほど追いかけ回すのは明らか。小沢サイドはこの際、きっちり反転攻勢に出た方がいい。
どうせ裁判になれば、検察との全面対決になるのだ。今から捜査のおかしさ、納得のいかないことには堂々と反論しておくべきだ。
そもそも、今回の事件は「検察ファッショ」との批判が多い。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士は、日刊ゲンダイ本紙にこう語っている。
「政治資金規正法では、収支報告書には寄付の行為者を記載すればよく、カネの出し手(出資者)の記載は求めていない。小沢氏の団体の収支報告書は献金された政治団体名、カネの収支ともに明確に記載されている。起訴された容疑の『虚偽記載』がどの部分を指すのかサッパリ分からない」
検察は西松OBの政治団体はダミーと言うが、その事務所は実在し、代表者も常駐していた。それをありのまま記載して、どうして違法なのか。郷原氏の言うように、大久保秘書は法的にはシロ。検察の横暴と、取調室で何があったのか、大久保秘書は洗いざらいブチまけるべきだ。逃げ隠れすると、かえって小沢嫌いの大マスコミのエジキになるだけである。
(日刊ゲンダイ2009年5月26日掲載)