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【社会】

新型インフル、国内確認前に82人発症 検疫すり抜け感染

2009年5月30日 09時08分

 今月16日に初めて新型インフルエンザの国内発生が確認されたが、その前日までに計82人が新型ウイルスによる発熱などの症状を訴えていたことが29日、本紙の調べで分かった。政府は水際対策に注力していたが、検疫をすり抜け、感染が拡大していたことになる。

 本紙は厚生労働省に報告された約360人の感染者のうち、発熱やせきなどの症状が出た日が分かる265人を分析。

 その結果、9日に兵庫県西宮市や同県宝塚市などの高校生5人が症状を訴え始め、10日は神戸市など7人、13日には大阪市や大阪府吹田市など12人の高校生らに拡大。15日は32人に急増して合計82人に及んだことが分かった。

 16日に神戸市で第1例が確認された時点では、発症者は104人に達していた。

 政府は4月25日から成田、関西、中部の3空港に大規模な検疫チームを配置。カナダを含む3カ国からの到着便について検疫を実施した。

 9日には、カナダから米国経由で帰国した大阪府の男子高校生ら3人が、機内検疫などで感染が確認された。

 ただ、検疫については、潜伏期で症状の出ていない場合にはほとんど効果がないといった限界が当初から指摘されていた。

◆兵庫、大阪は同一ウイルス

 兵庫県と大阪府の新型インフルエンザ患者は、ほぼ同じウイルスに感染していたと、独立行政法人「製品評価技術基盤機構」と国立感染症研究所が29日、発表した。

 両府県の感染の関連は不明だったが、同機構は、今回の結果は同一のウイルスによる感染が広まったことを示すものだとしている。メキシコなどで分離されたウイルスに比較的近く、そうした地域から新型発生初期のウイルスが持ち込まれたのではないかという。

 16、17日に兵庫県で5株、大阪府で4株のウイルスを分離して解読。遺伝子の約1万3千の塩基配列はよく似ており違いは最大で4カ所。海外のウイルスと比較すると、塩基配列の違いは10−20カ所程度で新型発生初期の「メキシコ・米国南部」系統と、4月下旬に集団感染を起こした「米国東部・カナダ」系統の中間だが、メキシコ系に近かった。

(中日新聞)

 

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