医学部生に学費全額貸与 潟上の医療法人
秋田県潟上市で総合病院などを運営する医療法人「正和会」グループ(小玉敏央理事長)は、秋田県出身の私大医学部生を対象に、大学6年間に掛かる入学金・授業料などすべての修学資金を無利子で貸与する制度を創設した。医師不足に悩む病院が育成から関与して医師を囲い込むのが狙い。県医師確保対策推進室によると、私学生に限った民間の制度は全国でも珍しいという。
大学卒業後に5年間研修医として県内の医療機関で働いた後、「正和会」の施設に勤務することが条件。選考対象には、私大医学部に進学予定の県内の高校生も含まれる。
試算では、貸与額は1人当たり最高で計約5000万円になる。最長20年で返還、同会の病院などに15年間勤務した場合には500万円以上の返還が免除される。
詳細は今後詰めるが、選考では能力のほか、地域医療に対する熱意などを重視する。資金を受ける学生は毎年1人程度を予定。定期的に面談し、助言を与え続けるという。
正和会グループは、潟上市昭和大久保地区で、内科や循環器科などからなる総合医院と介護施設などを運営し、秋田市などでも病院や福祉施設を手掛ける。
各自治体にも修学金や奨学金を貸与する制度があるが、貸与額は必ずしも多くはない。私大医学部は入学金や授業料が高額なため、学生や保護者の負担が大きい。
県医師会常任理事でもある同会の小玉弘之専務理事は「国立大生に比べて、大きな負担を抱える私大生の力になれればいい」とした上で、「当方の施設で働くまで、大学入学から10年以上かかる。その間に学生の考えが変わることもあり得るが、相談に応じたい」と説明する。
2009年05月30日土曜日
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