今年の食育白書が全国に広がりつつある「弁当の日」に注目している。香川県綾川町の滝宮小学校の竹下和男校長(現・綾上中学校長)が二〇〇一年から始めた食育運動だ。
給食の代わりに、月一回、五、六年生が弁当を自宅で手作りして学校へ持って行く。献立作りから材料の買い出し、調理、後片付けまで児童だけで行い、親は手伝わないのが決まりである。
本当に小学生に弁当が作れるのかとの心配は無用。試行錯誤することが大切なのだという。子どもたちにとって、一人で弁当を作れたことは大きな自信となり、自立心が養われる。
竹下さんによると、単身赴任のお父さんや病気で入院したおばあちゃんのために弁当を作った子どももおり、家族は感動で涙を流しながら食べた。弁当作りには、子どもたちを成長させる力があるのだろう。
「弁当の日」を設けている実践校は現在、中学、高校など全国で五百校を超えるまでになった。弁当のテーマを設定したり、お互いに弁当を交換して楽しんでいる大学生もいる。
一人で食べる孤食、朝を抜いた欠食、家族ばらばらの個食など、子どもたちを取り巻く食の環境にはさまざまな問題がある。「弁当の日」は身近な食を見直すとともに家族のきずなを深めるきっかけになる。弁当の効用を見直したい。