本当に湖を見られるのだろうか。アフリカ中部のチャド湖を訪ねる旅は、不安の中で続いた。四輪駆動車で走り続けても、目の前には乾いた大地が続くばかり。この40年で20分の1に縮小したとはいえ、それでも琵琶湖の2倍の広さがある。もっと簡単に見られると思っていたが、甘かった。かつて湖底だった場所には農地が広がり、残り少ない湖の水で灌漑(かんがい)が行われていた。年々狭まる漁場では、漁師たちが小さな魚を奪い合うように取っている。サハラ砂漠の南縁地域を潤す「生命の水」が消えつつあるのを、肌で実感する旅になった。
武田 剛(たけだ・つよし)
朝日新聞編集委員。92年入社。03年末から1年4カ月間、第45次南極観測隊に同行して、昭和基地で越冬取材。帰国後、地球環境をテーマに「北極異変」「地球異変」取材班を立ち上げ、06年にグリーンランド、07年にネパールヒマラヤ、08年に北極圏カナダ、09年にアフリカ・チャド湖を取材。著書に「南極 国境のない大陸」(朝日新聞社)、「南極のコレクション」 (フレーベル館)、「ぼくの南極生活500日」(同)。41歳
(更新日:2009年04月27日)
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