鹿児島県伊佐市は28日、乳幼児に重い髄膜炎を引き起こすインフルエンザ菌b型(ヒブ)のワクチン予防接種について、費用を全額補助すると発表した。28日開会の市議会定例会に事業費337万円を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を提案、可決されれば7月から実施する。市によると、全額を補助する自治体は北海道幌加内町に次ぎ全国で2カ所目。
ヒブはインフルエンザウイルスとは無関係の細菌で、接種は生後3カ月から2歳の乳幼児が対象。乳幼児は免疫力が弱いため感染すると髄膜炎を引き起こし、患者の約5%が死亡、4分の1にてんかんなどの後遺症が出る。3歳までに4回の予防接種をすることでほぼ完全に防げるが、日本では年間約600人と患者数が少ないこともあって取り組みが遅れ、国は2007年1月にワクチンを承認した。ただ、計3万円の接種費用は健康保険が適用されず、全国の医師などが国や自治体に負担を要請している。
同市では、市内にある県立北薩病院の福重寿郎小児科部長(44)が昨年から市に全額補助の必要性を繰り返し訴え、実現した。福重部長は「予防接種の効果は大きく、無料化が実現してうれしい」と喜んでいる。
=2009/05/29付 西日本新聞朝刊=