飲酒運転を撲滅しようと、事故で幼児2人を失った千葉市花見川区の井上保孝さん(59)、郁美さん(40)夫妻が26日、市川勤労福祉センターで講演した。
井上さん夫妻は99年11月28日、箱根への家族旅行の帰りに東名高速道路で飲酒運転の11トントラックに追突され、乗用車が炎上。後部座席でシートベルトを締めて眠っていた長女奏子(かなこ)ちゃん(当時3歳)と次女周子(ちかこ)ちゃん(同1歳)は、「熱い」という言葉を残し焼死した。保孝さんは全身に大やけどを負い、今もリハビリを続けている。
逮捕されたトラック運転手は業務上過失致死傷罪で懲役4年が確定。井上さん夫妻は「2人の命の重さに比べ、刑罰が軽すぎる」と訴え、署名を集め始めた。この活動が、飲酒運転を厳しく罰する危険運転致死傷罪の新設につながった。
講演で、保孝さんは「絶望感はこれからもずっと抱えていかなければならない。今も同じような事故が起こっていることが悲しくてしょうがない」と話し、郁美さんは「家族や近くの人が飲酒運転の兆候に気付いて声をかけて」と訴えた。【荻野公一】
毎日新聞 2009年5月28日 地方版