2009.04.01
【PROFILE連作ｼﾘｰｽﾞ�◆曖戮悗料曚そ�
09/3/7
ある女性が逝ったという噂を聞いた｡自殺だという｡100％本当か分からない｡確かめる術さえ無くしてしまった自分が辛く悔しい｡
｢どこに住み､何をしててもいい｡ただ､いつでも俺から見えるところにいてくれ｡俺を太陽のように思うなら､たとえ冥王星でもいいから惑星の軌道から外れちゃいけない｣
何度も彼女に言い聞かせていたのに､まさに冥王星の如く私の手が届かないところに行ってしまったのか…｡
私には10年以上愛し続けてきた女性がいる｡しかし男と女の間には夏もあれば冬もある｡朝もあれば夜がある｡そんな気持ちの隙間に彼女がいた｡恋に苛立ち心が乱れた時､ふと彼女に逃げたいと思った事もある｡
1年に1度､自分の誕生日だけ､寂しくて死にたくなるから一緒に朝までいて欲しいと彼女は言った｡12月の夜､新宿から池袋まで歩き続けた｡朝陽は見たくないと､ﾓｸﾞﾗみたいに屋根の下に潜った｡
深夜…｡洒落た地下のﾊﾞｰ｡一言も話さず彼女はｶｸﾃﾙの杯を重ね､私はﾀﾊﾞｺを吸い続けた｡階段を登り朝陽の眩しさに思わず2人して身を捩った｡｢ﾄﾞﾗｷｭﾗみたい｣と彼女は笑った｡私達は朝陽が嫌いだった｡
｢bossが50を過ぎて私が40になり､もしどちらも独りだったら…｡一緒になって､老いたらJAZZ喫茶でもやりません?｣
刺すような目付きで言った後､笑いながら｢ｳｿです｣と取り繕った彼女…｡
心が痛い｡心が辛い｡俺を許してくれ､俺を許してくれ｡
09/3/9
彼女の名前はYといった…､少し彼女との思い出を心の儘に綴ってみたい｡
仕事の関係もあり､彼女との待ち合わせは午前0時､それが普通だった｡まずは池袋西口駅前の喫茶店にｼｹ込む｡そこはﾄｰｽﾄとゆで卵が食べ放題という､風変わりな店だった｡
彼女は身長180cm､長い黒髪…完璧なﾓﾃﾞﾙ体型だった｡しかし､逢う度に彼女の顔には疲れの色が増し､それに反比例するように化粧が濃くなっていった｡
｢ｵﾏｴ､ちゃんとご飯を食べてるのか!?｣
これが私の決まり文句だった｡TVﾄﾞﾗﾏ｢ｼｮﾑﾆ｣の江角ﾏｷｺを彷彿させる勝ち気でｷﾂｲ表情が持ち前の彼女､何についてもﾊｯｷﾘと口にする｡実に攻撃的な女性だった｡
そんな彼女が私の質問には､必ず複雑そうな笑みを浮かべて答えない｡ある日､私は更に問い詰めた｡
｢ちゃんと食べろって言ってるだろう｡体が資本なんだぞ｣
すると､突然彼女はｳｪｲﾀｰを呼び､｢ゆで卵10個お願いします｣と言った｡そして私の目の前でまるで飲み込むように10個のゆで卵を平らげた｡そしてﾍﾋﾞｰｽﾓｰｶｰの彼女は旨そうにﾀﾊﾞｺを吸い込んだ｡
ｺｲﾂ､狂ったか!? 唖然とする私に向かって彼女は笑顔を見せた｡
｢何ならBoss､あと10個食べて見せましょうか? 大丈夫､私は元気です｣
しかし､そんな彼女の笑顔も､挑発的な冗談も､精一杯の｢作り物｣だという事が私にはよく分かっていた｡
いったい夢現舎を離れてからの3年間､彼女に何があったのだろう…｡少なくとも今の彼女には､約3年前､編集の世界で八面六臂の活躍をしていた頃のｴﾈﾙｷﾞｰが枯れ果てたように思えてならなかった｡ﾀﾊﾞｺの量も増えているように感じた｡
｢ｵﾏｴ､ﾀﾊﾞｺの量が少し増えていないか?｣
彼女は屈託ない感じで､｢1日3箱｡でも5箱の時もありますかね｣と答えた｡｢肺癌になるぞ､死んじゃうぞ｣私が言うと､｢ﾀﾊﾞｺで死ねたら本望ですよ｣
再び彼女は､作り笑いを私に向けた｡しかし瞳の奥の闇は閉じたままだった｡
※この逸話はまだまだ続く予定だった｡だが､今の私にはこの原稿を書くのがどうしても辛くてならない｡
いつか…､心の整理がついて書いてみようか!? そう思える日がきたら小説仕立てで彼女…Yについて綴ってみようと思う｡それまで､この物語は中断させて頂きます｡
ある女性が逝ったという噂を聞いた｡自殺だという｡100％本当か分からない｡確かめる術さえ無くしてしまった自分が辛く悔しい｡
｢どこに住み､何をしててもいい｡ただ､いつでも俺から見えるところにいてくれ｡俺を太陽のように思うなら､たとえ冥王星でもいいから惑星の軌道から外れちゃいけない｣
何度も彼女に言い聞かせていたのに､まさに冥王星の如く私の手が届かないところに行ってしまったのか…｡
私には10年以上愛し続けてきた女性がいる｡しかし男と女の間には夏もあれば冬もある｡朝もあれば夜がある｡そんな気持ちの隙間に彼女がいた｡恋に苛立ち心が乱れた時､ふと彼女に逃げたいと思った事もある｡
1年に1度､自分の誕生日だけ､寂しくて死にたくなるから一緒に朝までいて欲しいと彼女は言った｡12月の夜､新宿から池袋まで歩き続けた｡朝陽は見たくないと､ﾓｸﾞﾗみたいに屋根の下に潜った｡
深夜…｡洒落た地下のﾊﾞｰ｡一言も話さず彼女はｶｸﾃﾙの杯を重ね､私はﾀﾊﾞｺを吸い続けた｡階段を登り朝陽の眩しさに思わず2人して身を捩った｡｢ﾄﾞﾗｷｭﾗみたい｣と彼女は笑った｡私達は朝陽が嫌いだった｡
｢bossが50を過ぎて私が40になり､もしどちらも独りだったら…｡一緒になって､老いたらJAZZ喫茶でもやりません?｣
刺すような目付きで言った後､笑いながら｢ｳｿです｣と取り繕った彼女…｡
心が痛い｡心が辛い｡俺を許してくれ､俺を許してくれ｡
09/3/9
彼女の名前はYといった…､少し彼女との思い出を心の儘に綴ってみたい｡
仕事の関係もあり､彼女との待ち合わせは午前0時､それが普通だった｡まずは池袋西口駅前の喫茶店にｼｹ込む｡そこはﾄｰｽﾄとゆで卵が食べ放題という､風変わりな店だった｡
彼女は身長180cm､長い黒髪…完璧なﾓﾃﾞﾙ体型だった｡しかし､逢う度に彼女の顔には疲れの色が増し､それに反比例するように化粧が濃くなっていった｡
｢ｵﾏｴ､ちゃんとご飯を食べてるのか!?｣
これが私の決まり文句だった｡TVﾄﾞﾗﾏ｢ｼｮﾑﾆ｣の江角ﾏｷｺを彷彿させる勝ち気でｷﾂｲ表情が持ち前の彼女､何についてもﾊｯｷﾘと口にする｡実に攻撃的な女性だった｡
そんな彼女が私の質問には､必ず複雑そうな笑みを浮かべて答えない｡ある日､私は更に問い詰めた｡
｢ちゃんと食べろって言ってるだろう｡体が資本なんだぞ｣
すると､突然彼女はｳｪｲﾀｰを呼び､｢ゆで卵10個お願いします｣と言った｡そして私の目の前でまるで飲み込むように10個のゆで卵を平らげた｡そしてﾍﾋﾞｰｽﾓｰｶｰの彼女は旨そうにﾀﾊﾞｺを吸い込んだ｡
ｺｲﾂ､狂ったか!? 唖然とする私に向かって彼女は笑顔を見せた｡
｢何ならBoss､あと10個食べて見せましょうか? 大丈夫､私は元気です｣
しかし､そんな彼女の笑顔も､挑発的な冗談も､精一杯の｢作り物｣だという事が私にはよく分かっていた｡
いったい夢現舎を離れてからの3年間､彼女に何があったのだろう…｡少なくとも今の彼女には､約3年前､編集の世界で八面六臂の活躍をしていた頃のｴﾈﾙｷﾞｰが枯れ果てたように思えてならなかった｡ﾀﾊﾞｺの量も増えているように感じた｡
｢ｵﾏｴ､ﾀﾊﾞｺの量が少し増えていないか?｣
彼女は屈託ない感じで､｢1日3箱｡でも5箱の時もありますかね｣と答えた｡｢肺癌になるぞ､死んじゃうぞ｣私が言うと､｢ﾀﾊﾞｺで死ねたら本望ですよ｣
再び彼女は､作り笑いを私に向けた｡しかし瞳の奥の闇は閉じたままだった｡
※この逸話はまだまだ続く予定だった｡だが､今の私にはこの原稿を書くのがどうしても辛くてならない｡
いつか…､心の整理がついて書いてみようか!? そう思える日がきたら小説仕立てで彼女…Yについて綴ってみようと思う｡それまで､この物語は中断させて頂きます｡
samurai_mugen at 17:50
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