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世界に無神経さを示した中国の衛星破壊

2007年2月2日

中国は2007年1月11日に、自国の気象衛星を標的に衛星破壊の実験を実施した。実験は成功し、衛星は多数の破片となって軌道上に広がりつつある。

31日になって安倍晋三内閣総理大臣は、国会答弁で「中国による説明は懸念を払しょくするものではなく、引き続き透明性のある説明を求める」と発言した。

実際問題として、安倍総理の認識はまだまだ甘い。この問題は、遠い未来に渡って人類の宇宙利用、宇宙進出を根本から脅かしかねない重大問題である。人類の未来を考えれば、安倍総理から中国の温家宝総理に直接抗議文を出してもおかしくはないほどの暴挙なのだ。

中国首脳部が、この実験を事前にどこまで把握していたかは不明だ。しかし、結果として中国は国際社会に対して「中国は人類全体の未来よりも、地球上における自国の権益を優先する」というシグナルを送ってしまったと言っていいだろう。

極めて重大なデブリ問題

1957年に最初の人工衛星スプートニク1号が打ち上げられて以降、軌道上の使用済み人工物体(スペース・デブリ:Space debris)の数は増加の一途を辿っており、衛星や有人宇宙機の安全を脅かすまでになっている。

スペース・デブリはたとえ1g以下の小さな破片でも、衝突時の相対速度が最大で10km/秒以上と極めて高速なので致命的なダメージを生じる可能性がある。

軌道上のデブリは、北米防空司令部(NORAD)がレーダーで監視している。レーダー観測可能な差し渡し約10cm以上のデブリが、現在約1万1000個確認されており、その数は増加傾向にある。またレーダーでは見えないが宇宙機に損害を与える可能性のある1mm以上のものになると、数百万個のオーダーで地球を回っていると見積もられている。

地球を覆うスペース・デブリ。比較的低い軌道にあるデブリを模式的にプロットした図(by NASA Orbital Debris Program Office)

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