2009年5月28日11時55分
米政府は米自動車メーカーの労務費が高すぎると指摘する。米メーカー自身も「日系メーカーと比べて1時間当たり10ドル以上高い」(フォード・モーター)と認める。
しかしジョンに実感はない。「現役労働者より、退職者向けの年金や健康保険の分が重いのだろう。しかし体をこわすぐらい働く労働者には必要なものだ」。父は重労働の影響で腕がほとんど上がらない。
生活への不安は高まる一方だ。子供たちは大学進学をすでに断念。18歳の三男にも「マクドナルドでもバーガーキングでもいいから働け」と伝えた。しかしデトロイト近郊の失業率は13.3%(3月)。ファストフードも求人はほとんどない。
リンカーンパークには自動車メーカーや部品メーカーに勤める労働者が多い。ジョンの家の近所にも差し押さえの家が目立つ。「ペンキ塗りの仕事でもなんでもしなければならない」。ジョンの緊張感は限界に達している。(敬称略)