きょうのコラム「時鐘」 2009年5月28日

 北朝鮮の核実験強行で、気になる話が流れた。米国、中国に事前通告があったという。その知らせはすぐに、日本にも伝えられたのだろうか

機密だらけの外交や軍事は、うかがい知れないことが多い。が、自国の利益や安全に深くかかわらない限り、重要な情報を簡単に流したりするだろうか。同盟国相手でも、冷徹な計算は働く

北朝鮮で何かが起こっている。独裁者の激ヤセで、政権移譲をめぐる動きが急、とも伝わる。各国の情報収集合戦は激しさを増しているに違いない。米CIAや韓国の国家情報院のような独自の情報機関を、わが国は持たない。果たして大丈夫なのだろうか

立山室堂にまで光ケーブルが伸びる情報化社会である。が、情報が正確に流れて初めて、IT社会が自慢できる。デマや中傷が乱れ飛び、大混乱を招いた新型インフル騒動という悪い見本が起きたばかりである

制裁措置として、北朝鮮船への臨検が強化されるという。日本海は緊迫の度を増す。独裁国家は、どう出るのだろう。相手の手の内が読めなければ、事は進まない。北の無法に劣らず、情報戦に遅れるのが怖い。