怪談マニア龍之介!?
巡礼団取材の翌日は、ふたたび編集Rとともに駒場の日本近代文学館へ。
同館に収蔵されている龍之介直筆の画幅撮影と「芥川文庫」の蔵書閲覧が目的である。
龍之介がらみで同館のお世話になるのは、学研の『伝奇ノ匣3 芥川龍之介 妖怪文学館』(ただいま絶讃品切中! うぅーむむむむむ)以来、二度目。
まずは前回、拝観の叶わなかった『化物帖』の実物と対面。龍之介えがく「一目怪」や「ぬっぺらぽう」「人魂」「からかさの一本足」を堪能する。
一方、旧蔵書についても、前回チェックできなかった怪談アンソロジーの大古典『The Best Ghost Stories』やドロシー・スカブラーの怪奇小説研究書『The Supernatural in Modern English Fiction』を借り出して、仔細に検証した。
龍之介は読了後、本の余白に感想をメモしており、これが実に率直で面白い。その一端は『伝奇ノ匣3』の解説でも触れたとおりだが、今回の『The Best Ghost Stories』でも、M・R・ジェイムズの「キャノン・アルベリックの切抜帖」には「イササカ無気味ナリ」、E・F・ベンスンの「遠くへ行きすぎた男」には「チョット面白イ」、リットンの「幽霊屋敷」に至っては「コンナモンダラウト思ッタ/原始的妖怪談以上ノ何物デモナイ」などと先生、言いたい放題である(笑)。
詳しくは、『幽』次号の第一特集「怪談マニア龍之介」にて!
▲『The Best Ghost Stories』所収の「米国怪談実話集」の一篇に付された書き込み。
これぞ龍之介の直筆だ! 同篇は田辺青蛙さんの翻案により『幽』次号に掲載される。
さて、近代文学館を後にした両名は一路、渋谷のメディアファクトリーへ。
今号の第三特集「黒史郎vs宇佐美まことvs雀野日名子/『幽』大賞作家競作!怪しき我が家」の打ち合わせを、吸血キッシーとごにょごにょしたりしているうちに定刻となったので、編集R、ライター役の朝宮運河氏と共に階下のミーティングルームへ。
これまた『幽』次号の企画「スポットライトは焼酎火」インタビュー――今回のゲストは、先頃ひさびさの著書となる『江戸歌舞伎の怪談と化け物』を上梓された横山泰子さんである。
小生とは何故かこれが初対面だったのだが、着座するなり拙著『江戸東京 怪談文学散歩』を取り出されて「サインを……」とのリクエストをいただき、大いに恐縮するやら嬉しいやら(汗)。
ならば、と、こちらも持参した横山さんの伝説的大著『江戸東京の怪談文化の成立と変遷』にサインをおねだりする(笑)。
いろいろと有意義なお話をうかがえたので、こちらも要注目である。
投稿者 東 雅夫 : 2008年11月18日 03:39
Trackback Pings
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.bk1.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/9003