政治

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

北朝鮮核実験:「独自制裁」に政府苦慮 効果に疑問

 核実験を実施した北朝鮮に対する日本独自の制裁強化を実施すべきかどうか、政府が苦慮している。自民党の拉致問題対策特命委員会(古屋圭司委員長)が27日、追加制裁の実施を求める決議を了承するなど、制裁強化を求める声は高まっているが、ほとんどの制裁メニューは使い果たしたうえ、具体的効果にも疑問符がついているためだ。日本だけが突出しても効果は見込めず、政府は国連安全保障理事会での議論を見極めて判断することにしている。【坂口裕彦、中澤雄大】

 「日本の対北朝鮮政策はもう一度考え直した方がいい」。福田康夫前首相は27日、議員会館の自室を訪れた河村建夫官房長官にこう語り、制裁議論に傾きがちな対北朝鮮外交の行き詰まりを指摘した。

 政府は今年4月、北朝鮮による長距離弾道ミサイルの発射を受け、同国への現金持ち出しや送金規制を強化したばかり。これまでも弾道ミサイル発射(06年7月)や核実験(同年10月)のたび、制裁強化に踏み切ってきた。

 残るカードは北朝鮮への全品目輸出禁止などに限られるが、北朝鮮には中国からの物資が流入しており、実効性が上がる見通しは立っていない。

 独自制裁には、拉致問題を抱える日本政府の国内向けメッセージという側面もある。自民党の特命委は27日、(1)全品目の輸出全面禁止(2)北朝鮮に渡航した在日外国人の再入国の原則禁止--など、政府が4月には実施を見送った3項目を実行するよう、28日に河村長官に申し入れることを決めた。

 特命委の会合には、拉致被害者家族会も出席し、飯塚繁雄代表は「日本はもっと制裁を科してほしい。国際社会と一致し、拉致問題解決に向け強い態度でお願いしたい」とあいさつ。出席した国会議員からは「北朝鮮船舶の臨検をできるような特別措置法が必要だ」「米国と連携し北朝鮮の金融資産を調査すべきだ」などの強硬論が相次いだ。

 ただ、外務省幹部は「日本独自の制裁と国連決議の内容を連動させないと効果がない」と語るなど、日本が突出することには慎重で、国連決議の行方を見極めたうえで独自制裁を検討することになる、との見通しを示した。

 ◇「制裁含む決議を」首相

 麻生太郎首相は27日、北朝鮮の地下核実験実施を受けた国連安全保障理事会の対応について、「非難決議を迅速に出す。追加制裁も含まれるということを、きちんと早くやるのが極めて大事なメッセージだ」と述べ、追加制裁を含む決議を採択すべきだとの考えを示した。首相官邸で記者団に語った。

 大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)に韓国が全面参加することに対し、北朝鮮が「宣戦布告とみなす」などと反発していることには、「あれを『宣戦布告』と言う国を理解できない」と述べた。【念佛明奈】

毎日新聞 2009年5月27日 21時18分(最終更新 5月27日 23時12分)

政治 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報