【社説】5日間も誤認されていた盧前大統領の最期
盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が当初明らかにされた状況とは異なり、慶尚南道金海市の烽火山のミミズク岩と呼ばれる場所から随行員がいない状況で飛び降りていたことが警察の調べで27日までに分かった。飛び降りた時刻も当初発表の午前6時45分ではなく、午前6時14分から17分の間だったという。
警察によると、イ・ビョンチュン警護課長は23日朝、盧前大統領と共に烽火山に登り、山中のミミズク岩で、盧前大統領から近くの寺院「浄土院」に行ってくるよう命じられ、3分間にわたり盧前大統領のそばを離れた。その後、ミミズク岩に戻ったイ警備課長は午前6時17分に盧前大統領私邸の警備隊に携帯電話で「VIPの姿が見えない」と通報していたことが通話記録から明らかになった。
警護官ががけ下に転落している盧前大統領を発見し、収容したのは午前6時45分だった。盧前大統領は一刻を争う状況下で30分も放置されていたことになる。
盧前大統領の飛び降りは、国家的波紋を引き起こし、歴史的にも重大な事件だ。それほど重大な事件の真実を国も国民も5日間にわたり知らなかったことになる。
こうしたとんでもない状況が生じたのは、イ課長が当初、「午前6時45分に盧前大統領が『あっちから人が来る』というので視線をそらした間に(盧前大統領が)飛び降りた」と証言したためだ。イ課長は飛び降り現場にいなかったにもかかわらず、「最後まで警護対象を見失ってはならない」という警護規則に違反した責任を免れようとうそをついたとみられる。
警察はいい加減な虚偽の供述を検証もせずにそのまま事件経緯として発表した。「付近に登山客がいた」というイ課長の証言に基づく目撃者調査も行わなかった。警察はイ課長が23日の最初の事情聴取で、盧前大統領と一緒に浄土院の近くまで行ったと証言したのを黙殺し、26日になって「特別な意味はなさそうだったので公表しなかった」と説明した。
その上、捜査上の問題が指摘された26日になって、携帯電話の通話記録を入手し、やっと事件経緯を確認した。イ課長の通話記録は最も基本的な捜査資料だったにもかかわらず、それを4日たってから確保したことになる。私邸警護隊はイ課長との通話で現場状況を把握していたが、誤った事件経緯が発表されるのを黙って眺めていた。
現在、盧前大統領の死去に関わる全ての事柄に国民が神経質になっている。事件処理のどんなに小さな部分であっても、いい加減に扱えばどんな火種になるか分からない状況で、最も重要な飛び降りの経緯が4日後に訂正発表されるという出来事が起きてしまった。すると、待ってましたとでもいうようにインターネットなどで大統領死去にまるで黒幕でもいるかのような陰謀論まで飛び出している。うわさの拡散を防ぐためにも警護と捜査の過程を詳細に明らかにし、責任を問わなければならない。
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