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核問題:北朝鮮、実験前に住民を避難させず

建設現場の壁がはがれ落ちるほどの「地震」が発生

 北朝鮮は今月25日、咸鏡北道吉州郡豊渓里で2回目の核実験を行ったが、その前に同道一帯で住民を避難させるといった安全措置を一切講じていなかったことが、26日明らかになった。

 核実験の当日、北朝鮮領内にいた中国朝鮮族の実業家は「25日午前、咸鏡北道清津市の宿泊施設で休んでいたが、壁が揺れるほどの地震が起きたので驚いた。建設中だった10階建ての集合住宅の前方の壁からタイルがはがれ落ちるほど強い地震が起こったにもかかわらず、現場の作業員たちはそのまま作業を続けていたため、大きな事故につながっていた可能性もあった」と話した。

 今回の核実験に伴う振動は、北朝鮮と国境を接する中国の吉林省延辺朝鮮族自治州でも感じられ、現地の住民たちは「北朝鮮で大地震が発生したと思った」と話した。

 中朝国境の警備に当たっている朝鮮人民軍の将官も「25日以前、咸鏡北道一帯で(核実験に備えた)統制はまったくなかった」と証言したという。また、北朝鮮は2006年10月の核実験のときとは違い、今回は核実験場に近い吉州駅などに対する封鎖措置も取らなかったという。06年の核実験の際には、国家安全保衛部や軍隊が吉州駅などで一般人の立ち入りを規制するなど、核実験に向けた兆候が見られていた。

 最近韓国へ入国した元高官の脱北者は「北朝鮮は今回だけでなく、06年の核実験のときも、事前に住民たちを避難させることはなかった。これは北朝鮮の体制がそれだけ人命を軽視しているためだ」と語った。

 吉州郡出身の脱北者たちは「吉州では土壁やレンガで造った平屋建ての家が多い」と話しており、核実験に伴う振動で建物が倒壊したり、住民が負傷するといった被害が生じた可能性もある。

 北朝鮮で軍事的な分野の職に就いていた脱北者は「北朝鮮が核実験に関する情報を完全にシャットアウトできるのは、地下核実験場の工事などに、移動を完全に禁止された化成政治犯収容所の収容者たちが動員されているためだ」と話した。

 化成収容所は「1級政治犯」を収容する北朝鮮でも最悪の収容所とされ、「一度送られたら永久に出て来られない」と言われている。

 政治犯収容所で警備兵を務めていた安明哲(アン・ミョンチョル)氏は「以前、咸鏡北道一帯にいた政治犯1万人が、核実験場があるとみられる豊渓里のマンタプ山へ連れて行かれ、地下の坑道を掘る作業をしていた」と証言した。

姜哲煥(カン・チョルファン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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