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エキサイティングエコ

2009年5月12日0時4分

 世界不況の打開策として、各国で古い自動車の買い替えを補助する動きが広がっている。自動車産業はすそ野が広く、雇用への影響が大きいため、買い替え促進で直接・間接の経済効果を狙う。環境性能に優れた車への買い替え補助を厚くし、車からの二酸化炭素排出抑制を強化する国も多い。

 この買い替え補助だが、90年代に南欧で多く採用された。しかし、政府負担が大きく、一度始めると癖になるため、同じ欧州で見送る国も多かった。ところが今回は、当時消極的だったドイツで採用が始まり、日本や米国でも準備が進む。

 日本国内では、09年度補正予算案に買い替え補助が盛り込まれ、13年以上使用した車から、一定の環境性能を持つ新車に乗り換える場合、登録車で25万円、軽自動車でその半額が補助される。今年度から始まった自動車取得税、重量税、自動車税を、環境性能に応じて減免する制度は、3年間継続される。

 ただ、いくら補助しても、消費者が反応しなければ、効果は見込めない。魅力的なエコカーでなければ、販売拡大は望めないのだ。これまでは、燃費は良いが動力性能や走行性能に不満が残る、あるいは軽量小型のぶん、豪華さに欠けるなど、環境性能と引き換えに、クルマの魅力が一部犠牲にされてきた。

 これからのエコカーには、斬新なデザインやスポーティーな動力性能、高度な安全性能が求められる。従来のイメージを払拭(ふっしょく)するような新しいコンセプトの提案も待たれる。自動車市場回復の牽引(けんいん)役をエコカーに期待するのならば、補助に頼らなくても消費者をわくわくさせる魅力が要る。「エキサイティングエコ」こそ、不況脱出のキーワードだ。(窯)

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