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【主張】党首討論 優れた選択肢で競い合え
麻生太郎首相は党首討論で「どちらが首相としてふさわしいか」「どちらの政党が政権担当能力があるか」を論じ合うべきだと主張した。民主党の鳩山由紀夫代表は「時の首相がこの国をどうしたいかだ」と応じた。
しかし、半年ぶりとなった討論で、二大政党のトップによる本格的な政策論争を期待した多くの有権者には、もの足りない内容だったのではないか。
民主党は、西松建設の違法献金事件について小沢一郎代表代行の説明責任が果たされないまま、代表交代劇を演じた。首相がそれを指摘すると、鳩山氏は守勢に回った。首相の発言にも、自民党政権の方が民主党より優れていると具体的に示す内容は乏しかった。政権選択の材料を有権者に与える論戦をさらに重ねてほしい。
首相が民主党の社会保障、安全保障政策への疑問を提起したのに対し、鳩山氏が別の機会に議論するとかわしたのは残念だ。
鳩山氏が北朝鮮の核実験という国政上の緊急課題を取り上げたのは当然だ。だが、米国から事前に情報が伝えられたかをただし、首相が「答えられない」とするやりとりにとどまった。北の核の脅威をどうとらえ、日本の防衛体制に問題はないのか、という核心の議論に踏み込んでほしかった。
違法献金事件をめぐって代表を辞任した小沢氏が、そのまま執行部にとどまったことを、首相は「それが説明責任の取り方か」と批判した。
これに対し、鳩山氏は自民党議員の多くも西松建設側から献金を受けていると主張した。さらに小沢氏の公設第1秘書だけが強制捜査を受けたことをとらえ、あらためて検察批判に及んだ。しかし、小沢氏や民主党の説明責任が果たされていない状況では、首相の主張の方が説得力を持つだろう。
企業団体献金を3年後に全廃するという民主党の主張について、首相は「秘書の違反を契機に制度が悪いというのは論理のすり替えだ」と批判した。政治とカネをめぐる国民の政治不信の払拭(ふっしょく)は与野党共通のテーマである。政治資金の透明化への作業を両党首間で確認してほしかった。
麻生、鳩山両氏の対決は初めてであり、衆院選を控えた時期だけに、互いに得点を稼ごうと肩に力が入りすぎたようにも見えた。具体的な政策課題に即した討論を期待したい。