「WBC世界フライ級タイトルマッチ」(26日、ディファ有明)
王者・内藤大助が“ざんげマッチ”でV5を果たす。25日、東京・水道橋の後楽園ホールで調印式と計量を行い、内藤は中国開催中止の代償として「最高のパフォーマンス」を公約。宮田ジムの不手際で本番3日前に急きょ日本開催に変更となったドタバタ劇に対し、責任の一端を担う王者が、ファンにV5を誓った。計量では王者、挑戦者ともにリミットの50・8キロで一発パスした。
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ひな壇の内藤はいつになく神妙な面持ちで口を開いた。「(中国開催が中止になって)一番思ったのはチケットを買ってくれた人たちに申し訳ないということ。スポンサー、テレビ局にも迷惑をかけた。試合自体もできるかどうか心配だったけど」と、うつむきながらマイクを握りしめた。
中国開催中止の直接の原因となったのは、上海の会場施設の使用をめぐっての書類上の不備。これは宮田ジムの不手際だが、内藤は「僕に責任がないとは言えない」とした上で「いい試合、勝つ試合をしたい。それがせめてものつぐないになる。最高のパフォーマンスをしたい」と誓った。
調印式を終え、計量会場に入った途端、王者は“プロ魂”を発揮した。計量後の撮影では、筋骨隆々の挑戦者の上半身を見て「パンプアップしなきゃ」と、いきなり腕立て伏せのパフォーマンス。これに応えるように挑戦者は右腕だけの腕立て伏せを披露して応戦し、会場を沸かせた。
友好ムードを漂わせる一方、挑戦者の体格に関して警戒を深めた。身長150・5センチの挑戦者に対して「あれだけ小さい相手とやるのは初めて。少し不安だな。パンチが全部空振りしそう。やりにくそうだな。大振りしたら当たらないな」と一瞬、表情を曇らせた。
熊はベルト奪取へ自信満々。2年間、炭坑で働いて鍛えたという腕力が自慢の挑戦者は「上海でも東京でも場所は関係ない。コンディションは万全だ。内藤を倒して中国にいいニュースを持ち帰りたい。自信はある」と不敵な笑みを浮かべた。