2009年5月28日0時12分
【ソウル=箱田哲也、牧野愛博】核実験や短距離ミサイル発射に続き、北朝鮮は27日の声明で「軍事対応」にまで言及した。核再処理作業も始まったとみられる。声明で言及された黄海周辺では実際、過去に大規模な交戦が起きており、韓国政府と軍は警戒を強めている。
韓国軍は27日、朝鮮半島西側の黄海上に引かれた軍事境界線といわれる北方限界線(NLL)付近に艦船を集結させ、警戒を一層強化した。大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)に韓国が全面参加を表明したことを受け、北朝鮮の軍が「軍事的打撃」にまで言及したためだ。
北朝鮮はNLLについて、国連軍が一方的に引いた線だとして、自分たちが主張する境界線を認めるよう主張。北朝鮮軍は27日の声明で、この境界線付近を航行する米韓の艦船や一般船舶の安全は保証できなくなると警告した。
現場周辺は99年と02年に大規模な交戦があった海域だ。いずれもワタリガニ漁が盛んになる6月に起き、双方で多数の死傷者を出した。韓国軍関係者によると、奇襲に備えてすでに駆逐艦を配置しており、北朝鮮側も容易に攻撃を仕掛けられない状況という。ただ、最盛期が近づくにつれ漁船が拿捕(だほ)される恐れがあり、緊張した状態が当面は続きそうだ。
北朝鮮軍は声明で「休戦協定の拘束を受けない」とも強調。韓国国防研究院の白承周(ペク・スンジュ)・安保戦略研究センター長は「北は今後さらに緊張を高めるため、NLL付近に艦船を出したり、領空を侵したりする可能性が高い」と話す。