栃木県足利市で90年、4歳女児が殺害された足利事件で無期懲役が確定した菅家利和受刑者(62)の再審請求の即時抗告審で、DNA再鑑定で女児の着衣に付いた体液と菅家受刑者のDNA型が一致しなかったことを受け東京高検など捜査当局は、当時事件にかかわった栃木県警の捜査員らのDNA鑑定を実施し、着衣のDNA型と照合する方針を固めた。着衣に犯人以外の汗などが混じっていた可能性もあるため、再鑑定の信用性を検証することが目的だ。
東京高裁は08年12月、検察側と弁護側双方推薦の鑑定医2人にDNA再鑑定を依頼。8日に出そろった二つの鑑定書はいずれも「同一人物ではない」と指摘し、捜査段階で行われ裁判で有力な証拠となった当初のDNA鑑定を否定した。
再鑑定は、当初の鑑定で警察庁科学警察研究所が切り取った着衣の周辺部分を、2人の鑑定医に切り分けて実施された。捜査員が触れるなどして付いた汗や唾液(だえき)が混じる可能性も指摘されたため、弁護側推薦の鑑定医は着衣に浸透した試料を絞り出すように抽出して鑑定。着衣の表面数カ所からも試料を採取して鑑定したが、いずれも菅家受刑者とは異なる同一のDNA型と判定されたという。
捜査幹部は「DNA型が本当に犯人のものか確認する必要がある」と話す。退職した捜査員も多いとみられ、難航が予想される。
毎日新聞 2009年5月13日 2時30分(最終更新 5月13日 2時40分)
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