栃木県足利市で90年に起きた「足利事件」で、無期懲役が確定し再審請求中の菅家利和受刑者(62)の弁護団は27日、東京高裁の即時抗告審に鑑定書を提出していた本田克也・筑波大教授が鑑定書の改訂版を提出(25日付)したことを明らかにした。
改訂版には、殺害された4歳女児の着衣に付着していた体液と菅家受刑者のDNA型が一致しないとする結論を導いた判定で使った資料の量など、詳細なデータが含まれている。有罪判決の証拠となった当時の科学警察研究所の鑑定について「あいまいで鑑定に到底耐えられない」と批判しているという。
改訂版は「第三者の体液混入の可能性もあり詳細なデータを明らかにしてほしい」とする東京高検の要求に基づき提出した。弁護団は会見で「改訂版で無罪が一層明確になった」と話し、来月1日、宇都宮地裁に「釈放しない検察官の処分は不当」とする申し立てを行う。刑事訴訟法は「(刑の)執行に関し検察官の処分を不当とする時、異議申し立てできる」と規定している。【安高晋】
毎日新聞 2009年5月27日 20時37分
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