次期衆院選は政敵の孫同士の対決という側面がある。民主党の新代表となった鳩山由紀夫氏の祖父である鳩山一郎元首相は、麻生太郎首相の祖父・吉田茂元首相と激しい権力闘争を繰り広げたライバルだった。
政敵の孫の個性は大きく異なる。鳩山代表について、山口二郎北海道大大学院教授が先日、本紙への寄稿文でこんなエピソードを紹介していた。
ある席で「鳩山さんは子どものころ、けんかをしたことがありますか」と尋ねたら「ありません」と答えた。政府を追及する際の甘さは、育ちの良さに由来するのかと納得したそうだ。
片や麻生首相は自著「とてつもない日本」で、中学時代は劣等生だったと告白。勉強ができる人間に負けない方法を考え、特に弟には絶対にけんかだけは勝つようにしたという。麻生首相の不敵な面構えや毒舌は、そんな生い立ちに起因するのかもしれない。
その二人がきょう、初の党首討論で対決する。最近の各種世論調査では、人気の面で鳩山代表が上回っているようだ。麻生首相が反転攻勢のきっかけをつかむのか、鳩山代表が優位を広げるか。
第一ラウンドの攻防に興味は募る。大物政治家の孫らしく目先の人気取りに終始せず、長期的な経済対策や消費税、安全保障の在り方など聞き応えのある激論を期待したい。