2009年5月14日

不破哲三『マルクスは生きている』

創刊10周年&リニューアルの平凡社新書、5月新刊の4冊目は、
マルクスを「唯物論の思想家」「資本主義の病理学者」
「未来社会の開拓者」の三つの側面からとらえた入門書。


不破哲三『マルクスは生きている』

不破哲三さんは共産党の書記局長・委員長・議長を歴任されたあと、
現在は党付属社会科学研究所の所長をつとめていらっしゃいます。

■帯のコピーより
知の巨人は何を予見したのか。
21世紀世界の混迷を、いま、マルクスに聞く。

■目次

はじめに

第一章 唯物論の思想家・マルクス

唯物論は現代の常識

三つのクイズに答えてください/不破の若き日の思い出から
生命現象に科学のメスが入る
精神活動を「ニューロン」のネットワークがになう
〔補論〕DNAの発見は、生命現象の解明に道を開いた
〔補論〕マルクスの生涯と盟友エンゲルス

弁証法の方法と自然の全体像
マルクスは弁証法の達人だった/自然は豊かな歴史に満ちている
物質には無限の「階層」がある/二〇世紀初頭の物理学の危機
素粒子の世界――新たな「階層」の探究が続く
自然の全体像は唯物論的で弁証法的
〔補論〕マルクスの弁証法 

社会観――マルクスは何をもちこんだか
マルクスの三つの提唱
マルクスの提唱は現代の社会的常識になっている
その背後には膨大な歴史知識の集積があった
最後の日まで歴史の勉強を続ける
「それがマルクス主義であるならば、私は『マルクス主義者』ではない」
〔補論〕日本社会の観察者・マルクス

第二章 資本主義の病理学者・マルクス

マルクスは「搾取」の秘密を解きあかした

見えなくなった搾取の仕組み/マルクスは「剰余価値」の秘密を発見した
「利潤第一主義」が社会悪の根源
〔補論〕『資本論』の準備から刊行まで

労働者の苦難の根源をついて
「労働者」は日本の人口構成で四分の三以上を占める
搾取を究明する経済学/マルクスの目で現代日本の搾取の現場を見ると
『資本論』に描かれた労働者像/「社会の強制」が資本の横暴を規制する
「ルールある経済社会」は世界の発展方向となった
「ルールなき資本主義」の国・日本

資本主義の「死にいたる病」――周期的な恐慌
恐慌論へのマルクスの挑戦/恐慌論には三つの柱がある
マルクスが解明した“バブルの論理”/資本主義百八十年の恐慌史
世界経済危機をつらぬく恐慌の論理
人間社会は資本主義で終わりではない

窮極の災害――地球温暖化
地球大気という“生命維持装置”/地球の生命を誰が危険にさらしたのか
資本主義社会は人類にたいする責任を果たせるか
地球温暖化の危機と社会体制の選択
〔補論〕マルクスは抜粋ノートをこうして活用した

第三章 未来社会の開拓者・マルクス

未来社会への変革のカギは?
マルクスは知恵のしぼり方が違った/資本主義の社会悪とその根源
生産者が主人公となる社会/人間社会の「本史」が始まる
〔補論〕マルクスが書いた社会主義の綱領

マルクスの未来社会論の特徴点を見る
マルクスはなぜ青写真づくりに反対したか
未来社会への過渡期の探究に道を開く
マルクスは革命の道筋についても現代的な考え方の持ち主だった
農民問題をめぐる理論的格闘諸民族、諸国民の平等は社会主義の大原則

ソ連とはいかなる存在だったか
レーニン路線から逸脱した三〇年代の転換
第二次世界大戦後のソ連とその崩壊

マルクスの展望と現代の世界
世界の構造は二〇世紀に大きな変動をとげた
資本主義が世界で主役の地位を失いつつある
社会主義をめざす国ぐにでの開拓と探究
アジア・アフリカ・ラテンアメリカ―― 「新しい社会主義」への動き
〔補論〕マルクスを、マルクス自身の歴史のなかで読む

あとがき

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