 「プロジェクトX」について会見した大阪府立淀川工業高校はカメラをシャットアウト。顔写真は橋本元一・NHK会長 |
NHKの看板番組「プロジェクトX」に、またまた問題が発覚した。今月10日放送の番組で、合唱部が全国で金賞を取るまでの逸話を取り上げられた大阪府立淀川工業高校が、「かつて荒れていた」と紹介されたことに「事実と違う」と猛抗議し、同局も誤りを認めた。同番組をめぐっては、これまでも問題が多発。関係者からは「旧海老沢体制の遺物で、打ち切るべきだ」との声が上がっている。
問題の番組は、「ファイト! 町工場に捧げる日本一の歌」。昭和54年に赴任した新米教師が合唱部をつくり、全国大会で金賞を取るまでを紹介した。
番組では、同校が「年80人が退学」するほど「荒れに荒れていた」と紹介。暴走族の走行映像を交え、初めてのコンクールでは「会場にパトカーが来た」と伝えた。
これに対し、OBから抗議が寄せられ、当時の関係者も「パトカーまでは来ていない」と証言。退学者が80人になったこともないといい、同校はNHKに質問状を提出。同局側は「一部に誤りがあった」と認めた。
同番組は平成12年から始まり、17日放送分が172回目。当初、局内からは「目新しくないテーマで視聴率が取れるのか」との声もあったが、視聴率は順調にあがり、「あさま山荘 衝撃の鉄球作戦」はドキュメンタリーとしては異例の20%を記録。中島みゆきさんが歌う主題歌もメガヒットとなり、看板番組に成長した。
一方で、13年放送の「白神山地・マタギの森の総力戦」では、青森県が「秋田側の反対運動代表者の人生ドラマに終始し30カ所の誤りがある」と抗議。ほかにも、「企業のPR」といった批判が噴出していた。
さらに、昨秋の「プロジェクトX展」では、番組で取り上げた企業に最高3150万円の協賛金を募っていたことも発覚した。
「この際(番組を)やめたほうがいい」と手厳しいのは、同局出身の川崎泰資・杉山女学園大学客員教授。
「NHKには、総力をあげやっていることには無法がまかり通る体質がある。あんな美談はあり得ず、NHKが取材に来れば誰でも協力してくれることを悪用している。海老沢時代が生み出した体質。それを治すための改革なのに、反省もない。こんなことではNHKは潰れる」
ZAKZAK 2005/05/24