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迅速搬送へ妊婦マップ
2009年05月26日
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山間部の妊婦への支援態勢を話し合う医師会や自治体、保健所の関係者ら=高山市の飛騨総合庁舎 |
飛騨地方北部の山間地に住む妊婦に安心して赤ちゃんを産んでもらおうと、飛騨保健所などが支援態勢を強化した。医療機関などと「妊婦マップ」をつくって情報を共有するなど、緊急時の搬送に連携して対応できるように備えている。(徳永猛城)
◆飛騨北部 居住地を登録 病院連携
連携協定を結んだ高山、飛騨、白川の2市1村と病院、保健所などの「飛騨圏域へき地妊婦支援体制協議会」が11日から支援態勢を始めた。
この地方は、東京都よりも面積が広いにもかかわらず、出産を取り扱う病院は3カ所だけで、常勤の産科医は計5人。2次周産期医療機関はなく、高山赤十字病院が3次を担っている。
同協議会によると、年間に扱う出産は1千件以上。そのうち、「へき地」で出産を待つ妊婦は、少なくとも30人はいるという。
こうした人たちは、近くに病院が少ないため、出産予定日が近づくと、高山市中心部など病院近くのホテルに移動して備える。
だが、早産など緊急の場合は、家族が1時間以上も車を運転して病院に向かうしかない。冬場は積雪があり、1時間半以上かかるという。
こうした現状を改善し、緊急時にもすばやく対応できるようにするのが目的だ。まずは、どこに妊婦がいるのかを把握するためにマップを作った。
3市村が母子手帳を交付する時に同意がえられれば、その女性の情報を「妊婦マップ」に登録することにした。飛騨保健所が作る地図には、診療所や病院、搬送ルートが記されており、関係機関が共有する。急な出産の時には、消防が最寄りの診療所と連絡を取り、病院につくまでに必要な応急処置を施すことに役立てられるという。応急処置の講習会も開く。
お産ができる病院まで自宅から車で1時間以上かかる高山市内の20代の妊婦は「マップで情報を共有するのは良い。だけど、出産には何があるか分からないので、ドクターヘリでの搬送が安心できる」と話す。
同協議会では今後、妊婦を車に乗せて病院に向かう家族と、救急車が落ち合える場所や、県の防災ヘリコプターが発着できる場所の確認も進めていきたいという。
飛騨保健所の小窪和博所長は「全国では妊婦のたらい回しの問題があるが、飛騨北部では、それ以前の問題。病院まで遠いという現実がある。危機管理意識を高め、不測の事態を少しでも減らしたい」と話した。
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