2009年5月2日0時0分
デンマークは、重税の国である。所得税が平均で46%。消費税に代わる付加価値税が25%である。しかし、国民の幸福度や生活満足度は世界一位である。それは、政府の税金の使い道に国民が納得しているからだという。国民すべてに、教育費、医療費、また、老後にかかる生活費が無料である。
デンマークにはもう一つの顔がある。環境対策先進国という顔である。その姿勢は、半端ではない。環境に対して、個人が責任を持つ社会づくりという観点から、個人や企業のエネルギー消費にかかる税金は高く、二酸化炭素税など、課税対象は具体的で細分化している。また、車には、180%の付加価値税がかかる。もちろん、消費を抑えるだけではない。家電製品は、省エネレベルでランクづけされており、新規購入の場合、ランクに応じて税金の控除が受けられる。
さて、日本に目を転じれば、政府は、続々と大型景気対策を発表している。その第3弾が実現すれば、消費電力の少ない家電製品に買い替える場合、政府の補助でエコポイントとして5%が還元される。また、低燃費車、エコカーへの買い替えの場合、補助が受けられる。
景気対策と環境対策を両立したと見る向きもあるが、景気が回復次第、補助も打ち切られるとすれば、景気対策のために環境対策がうまく利用されたということであろう。不況がなければ、ここまでの省エネ商品への補助政策も生まれなかったという見方もある。また、環境保護のためにガソリン税の暫定税率を据え置いた政府は、1年後に高速道路の料金を値下げした。景気回復というテーマに比べ、この国の地球環境対策はあまりにも軽い。(深呼吸)