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守りは最強の攻め

2009年5月1日0時7分

 経営もスポーツと同じで守りが基本。野球にしろバレーにしろ、チームプレーで競うゲームには、企業の戦略や行動と相通ずることが多々ある。

 不況になり、中小・零細企業の破綻(はたん)はもちろん、数十年の社歴を持つ中堅企業や上場企業までが、数多く経営に行き詰まる。米国の金融危機に始まり、日本の実体経済に不況風が吹いてから、まだ半年というのにだ。なぜ、これほどまでにもろいのか。

 野球でも、攻撃時の失敗は直接負けにつながることはない。問題は守りの陣構えと戦術だ。守りが貧弱で戦略がないと、野球では敗北に直結し、企業は破綻してしまう。

 好況時、企業は販路を広げ、設備を増強するなどして攻め、規模拡大を目指す。実はこのとき、守りの態勢を構築することが、何より重要だ。経営における守りとは、自己資本を充実させ、損益分岐点を引き下げるといったことだ。

 企業の体力増強は好況時にしか行えない、というのが持論。不況になってから経費節減を急いでも、体力消耗を防ぐ程度のことで、増強にはならない。体力に余裕のある好況時に守りを固め、不況時にこそ思い切った攻撃的な経営が必要だ。

 企業破綻の原因が、金融機関の貸し渋りや貸しはがしにあると語られる。そうだろうか。最大の原因は企業自身にあるのではないか。好況時に守りを忘れ、勇ましい経営に終始すると、不況に弱い体質になってしまう。好況時にどれだけ守りを固めたか。このことが不況時に力となる。

 企業もスポーツも好調なときほど守り固めが肝心。「攻撃は最大の防御なり」ということわざがあるが、逆もまた真。「守りは最強の攻めなり」(樹)

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