郵便割引、自称障害者団体の「稟議書」厚労省職員関与の偽物?
障害者団体向けの郵便料金割引制度が悪用された事件に絡んで、自称障害者団体「白山会」(東京都文京区)の前身「
障害者団体証明書を交付するために決裁手続きが進んでいることを示す内部資料で、書式は実物と全く同じだったうえ、実在する職員の押印もあった。ところが、厚労省内には原本がなく、大阪地検特捜部は、厚労省職員が関与して作成された偽の稟議書の可能性もあるとみて捜査している。
関係者によると、稟議書の件名は「割引制度の許可申請に関する証明書発行について」。起案日の欄には、2004年4月下旬の日付が記され、数人分の決裁印の押印があり、同時期頃、NPO法人「障害者団体定期刊行物協会」(東京都世田谷区)に提出されていた。
協会関係者によると、凛の会会員は同年2〜3月、「厚労省職員から助言された」として、同協会を数回訪れた。
割引制度を受けるためには、障害者団体であることに加え、定期刊行物を月3回以上発行しているなどの条件がある。しかし、同協会に加盟すれば、こうした制約と関係なく、定期刊行物の発行団体を編集人、同協会を発行人として制度が受けられる利点がある。
同協会は凛の会会員に対し、「営利目的の団体ではない」とする念書を要求。これを受け、会員は同年4月頃、同協会に対し、厚労省から交付されたとする稟議書を提出したという。
ところが、同省には決裁書類が保管されておらず、決裁印が押されていた担当職員も、読売新聞の取材に「決裁をした記憶はない」と回答している。
結局、凛の会は同協会を利用せず、同5月28日付の偽の証明書を郵便事業会社(日本郵便)に提出、制度適用の承認を受けていた。
この証明書も厚労省障害保健福祉部の企画課長印そっくりの印影があり、書式も本物と同一だが、厚労省内に痕跡が残っておらず、特捜部が押収した凛の会元会員のメモに、証明書発行と同時期に職員と面会したことを示す記載があったことが判明している。
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