北朝鮮はいったい、どこまで挑発行為を繰り返すつもりなのか。ミサイル発射に続き、今度は2度目の核実験である。北東アジアや世界の安全を揺るがす北朝鮮の蛮行は断じて容認できない。国際社会は国連安全保障理事会の決議を通じて直ちに、拘束力かつ実効性のある厳しい制裁を科すべきである。
北朝鮮は「地下核実験を成功裏に実施した」と発表した。事実なら2006年10月に続く核実験の強行となる。再び核実験を実施しないよう要求した06年の安保理決議1718への明確な違反である。
北朝鮮は4月には「人工衛星」を搭載したと主張し、長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を発射した。安保理がこれを非難する議長声明を採択したのに対し、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を含む「追加的な自衛的措置」を講じると反発していた。
米国のオバマ大統領は4月のプラハ演説で「核兵器のない世界」を目指すと表明したばかり。米ロは新たな戦略兵器削減条約の締結へ交渉中だ。日本も世界的な核軍縮に向けた国際会議を主催する意向だ。核軍縮や核不拡散への機運が盛り上がるなか、北朝鮮の核実験は世界の潮流に逆行する危険な行為といえる。
北朝鮮はオバマ政権の注目を集め、米朝交渉につなげたいのだろう。だが国際社会は今度こそ、挑発や威嚇行為がもはや通用しないことを北朝鮮に認識させる必要がある。
オバマ大統領は「すべての国に重大な懸念を与える問題」と北朝鮮を非難した。日本政府は米韓などとの連携を軸に、安保理を通じた制裁決議の早期採択を目指してほしい。
06年の安保理決議は、大量破壊兵器に関連する団体や個人の金融資産の凍結、ぜいたく品の禁輸などを打ち出したが、十分な効果があったとは言い難い。いくら厳しい文言が並んでいても、実効性の伴わない制裁決議では意味がない。
北朝鮮の暴走には中国やロシアも重い責任を負う。中ロは4月のミサイル発射に対して「北朝鮮を過剰に刺激すべきではない」と主張、安保理決議の採択に反対した。その結果が核実験である。06年の安保理決議の実効性が問われるのも、実際の経済制裁に二の足を踏んできた中ロのあいまいな態度が背景にある。
北朝鮮の6カ国協議復帰を含め、対話の道を閉ざす必要はないが、協議参加を条件に妥協的な態度を取るべきではない。重要なのは挑発が孤立を深めるだけだと、北朝鮮に知らしめる国際社会の結束である。