【国際】ロシア、北朝鮮対応に苦慮 与党内から制裁望む声も2009年5月26日 00時17分 【モスクワ25日共同】北朝鮮の2回目の核実験実施を受け、国連安全保障理事会の議長国ロシアは対応に苦慮している。日本の要請を受けて25日中の安保理緊急会合の開催を決めたが、伝統的同盟国である北朝鮮のこれ以上の「暴走」は避けたい。だが下院の与党議員からも安保理での対北朝鮮制裁を求める声が出始め、制裁に反対してきたロシア外交の選択肢は狭まりつつある。 核実験を「安保理決議1718違反」と断じ「核不拡散強化の国際的努力に対する深刻な打撃だ」と非難したロシア外務省の声明は、北朝鮮に対するロシアの忍耐の限界が近づいていることを示している。ロシアのチマコワ大統領報道官も同日、実験を非難する声明を出した。 ロシア国防省は25日、北朝鮮の「吉州の北西80キロの地点で10−20キロトンの核爆発を観測した」と具体的に発表した。20キロトンは長崎型原爆に匹敵する。国境を接するロシアにとり、北朝鮮の核実験は極東の自国領への具体的脅威。軍の監視網は北朝鮮の核兵器やミサイル開発の動向を注視している。 ロシアはオバマ米政権との間で核軍縮を進めようとしており、北朝鮮の核兵器保有は容認できない。しかし国連制裁などで圧力を強めれば、北朝鮮はますます対応をエスカレートさせる恐れがある。ベイルート訪問中のラブロフ外相は核実験に懸念を表明しつつも「情報を分析した後に結論を出す」と抑制的だった。 ただ、自制を求めるロシアの要請が北朝鮮側に無視され続け、国内の反北朝鮮感情は高まっている。インタファクス通信はロシア政府筋の話として、北朝鮮は今回の核実験についてロシア側にまったく事前通告しなかったと伝えた。北朝鮮との対話のチャンネルは切れかかっている。
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