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北朝鮮が核実験 短距離ミサイル3発も

2009年5月25日20時20分

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写真:金正日総書記=AP金正日総書記=AP

 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮は25日午前、「自衛的核抑止力を強化するための措置の一環として、25日に地下核実験を成功裏に実施した」と発表した。国営朝鮮中央通信が伝えた。核実験は06年10月9日以来、2度目。前回と同じ北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)吉州郡(キルジュグン)豊渓里(プンゲリ)の付近とみられ、日本の気象庁など各国の観測機関が地震を感知した。日米を始め国際社会は反発を強めており、国連安全保障理事会は25日(日本時間26日早朝)に緊急会合を開き、対応を協議する。

 経済的に困窮し、最高指導者の金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康不安を抱える北朝鮮は、オバマ米政権との直接対話を求めてきた。4月5日には長距離弾道ミサイルを発射したが、国際社会での孤立は強まる一方で、核実験という最も強硬な対応に踏み切った。韓国政府によれば、北朝鮮は実験直前に米国に通報したという。

 同通信は核実験の規模については触れていない。韓国国防省によると、25日午前9時54分ごろ、豊渓里を含む北朝鮮咸鏡北道吉州郡でマグニチュード(M)4.4の地震を感知したという。前回核実験ではM3.9を観測したとしている。韓国政府関係者は「初期的な核実験には成功したと言えるだろう」と語った。

 同通信は今回の核実験について「新たな高い段階で安全に実施した」と説明。「今回の核実験の成功は、わが軍隊と人民を大きく鼓舞している。国と民族の自主権と社会主義を守り、朝鮮半島と周辺地域の平和と安全保障に貢献することになる」と主張した。

 韓国政府によると、北朝鮮は06年当時、豊渓里の実験場内の東西に核実験用の水平型トンネルを各1本準備し、前回の核実験では東側のトンネルを使った。韓国政府は今年3月から、北朝鮮が西側のトンネルを拡張したり、トンネル付近に建造物を新築したりする動きをつかみ、米国に通報。今回の実験ではこの西側のトンネルを使ったとみている。

 また韓国国防省によれば、北朝鮮は25日午後0時8分、同5時、同5時3分に短距離ミサイルを発射した。1発目は咸鏡北道舞水端里(ムスダンリ)付近から射程130キロ程度の地対空ミサイルが発射された。2、3発目は地対艦ミサイルとみられる。

 6者協議を通じて08年6月に申告した北朝鮮の核計画によると、同国は兵器用のプルトニウムを計38キロ生産。このうち、26キロを核兵器化した。北朝鮮の技術水準では核兵器1個に4〜8キロのプルトニウムが必要とされる。

 北朝鮮の外務省報道官は4月14日、国連安保理が弾道ミサイルの発射を非難する議長声明を全会一致で採択したことを受け、核問題をめぐる6者協議からの離脱とともに「自衛的核抑止力の強化」を進めると宣言した。

 さらに安保理の制裁委員会が北朝鮮の3団体を資産凍結の対象に指定すると、外務省報道官は同月29日に「安保理が即時謝罪しなければ、核実験や大陸間弾道ミサイルの発射実験を含む追加的な自衛措置をとる」との声明を出し、一連の動きの中で初めて核実験の実施に言及していた。

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