めがひっとのメディア論 by RJQ.JP
  2009年5月26日記載 最新記事リストの戻る
  企業内人事こそ合議による決議が求められる
  「権力」とは何か。意味を直訳すると組織内の人事権者、又は人事権に直結する者が持っている目に見えない力と考えられる。つまり権力を感じる相手というのは、自分が属する組織の人事権を直接または間接的に繋がっている者を指す。

韓国の最大の権力者は大統領である。日本の総理大臣とは比べ物にならないほどの権力を有する。国家の重要な人事権までも握る。状況によっては、自分の都合だけで法律から検察権力からも回避するだけの力を持っている。

韓国は過去、政権交代したときの前大統領はいずれも逮捕されている事実があることを本コラムでも書いた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は、韓国最高検から賄賂疑惑を掛けられ、当人は事実関係を否定したが、逃げ切れないとの腹をくくったのだろう。自ら身を投じ人生に幕を閉じた。事件は被疑者死亡により捜査は強制終了する見通しだが、絶大な権力を持つ大統領の元には賄賂と評した誘惑が次々とやってくるものである。よほどの自意識が強くない限り、賄賂の欲望に負けてしまうということなのだろう。

さて、視点を変え、もう少し身近な企業の例で考えてみる。企業における最高権力者は代表取締役だ。加えて代表がワンマン経営者の場合、経営者に社内の決済権の大半を有することになる。そのうち最も決済権で重要な意味を持つのが人事権だ。

サラリーマンにとって人事権は最も気にする重要要素である。わが身の給与と職務の決定が人事権を有する者の手中に入っているともなれば、その者を前に反論することもなく、権力者からのすべての指示事項を遵守し、誰しもが気に入られようと最善の努力を行う。

また人事権を持った経営者には、周辺にゴマすり社員が増殖する。特に中間管理職ほどその傾向が強くなる。他の者を蹴落としてでも自ら評価をされようと、権力者の前で自分を良くみせようとする。ゴマすり社員は権力者に対し、お中元、お歳暮などの基本も欠かさない。経営者に好まれるように、自らを徹底的に売り込むようになる。

大統領の周辺の賄賂話が参りこんでくるのと同じく、経営者も一人の人間であるから、こうしたゴマすり社員に対しては、気分が悪くなるはずもなく当然のように心地よく感じる。すると、本来の職務能力が乏しい人材であるのに勘違いを起こし、不適切な人事配置を行い、出世待遇させてしまうことにも繋がる。そうすると、現場で働く社員の不平不満が爆発する。モチベーションは減退し、生産性の低下も招く。

経営は、ヒト、モノ、カネの3要素のバランスがすべて整って初めて効果を発揮する。人事権は経営の中でも最も難しいヒトの活動モチベーションを左右する最重要事項である。誤った方向に行かないためにも、権力集中体制を見直し、特に人事権こそ合議によって適正に議論し決定を下すべきである。
   

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