ファミコン用、小型ビデオアンプ

◆ 経緯と概要

ガラクタの整理をしていたら、なつかしい任天堂ファミリーコンピュータが出てきました。
なつかしいと言っても、私はあまり使った事は無いのですが、私の兄弟はちょうどファミコン世代で今でもPS2などのゲームをしています。

出てきたファミコンは以前は妹が持っていた物で、5〜6年前に邪魔だからと私のところへ送ってきた物です。
付属品も説明書も全て揃っていたのですがソフトが無いので動作確認がとれません。
そこで近所のゲームショップに中古ソフトを買いに行ったのですが、どれも結構な値段が付いています。
どうせこんなに古いゲームのソフトなんて、ワゴンに山積になって100円とか200円で売っていると思っていたのですが、ゲーム機もソフトも最新型を除く他の機種よりも高いのです。
店員さんに聞くと、ファミコンでしか遊べないゲームがあるからだと言います。

動くかどうかを確かめるために買うのですから、一番安いソフトで充分ですのでワンコインで「ゼビウス」を買いました。

家に帰り早速ファミコンをテレビにセットしてゲームを始めると、カセットの挿し具合でフリーズするし、RF(アンテナ)入力の為、ノイズが目立ったりします。

そこで、ケースを開けて、カセットの刺さるコネクターとカセット側の端子を 2000番のサンドペーパーで磨いた上で接点回復剤をスプレーしました。

これだけでは面白くないので、ビデオ出力を付けてみる事にしました。

ファミコンの基板は、ゲーム基板とRFコンバータ(+電源)基板が独立していて簡単にビデオ信号が取り出せます。
最初にビデオ信号を直接取り出してテレビに繋ぐと色が薄く白っぽい画像となりました。
信号レベルが小さすぎる大きいのです。
そこで、以前バラしたのテレビ基板のビデオアンプ回路から適当な部品を剥ぎ取りトランジスタ一石のビデオアンプを組み入れてあげると、RF接続よりかは綺麗になりました。

続いて、音声信号を取り出すのですが、こちらは信号レベルが高すぎて音が割れてしまします。
またインピーダンスも合いません。
どうするか迷いましたが、抵抗を直列に入れてあげたら丁度良くなったのでOKとしました。
ヘッドホンも接続できます。
本当はトランス、コンデンサ、コイルを入れてあげるべきなのでしょうが、結果オーライです。

この状態で、RF接続、ラインアウト(ビデオ端子)接続のどちらも利用OKとなります。

ケースに出力端子を増設し、ついでにインジケータLEDを電源ボタンに組み込んで完成です。

せっかく作りましたが、ゼビウスの一面はおろか、始めの1〜2分で「GAME OVER」となるし、ゲーム自体にはあまり興味がない(負け惜しみ?)ので、オークションで売ってしまいました。

ところが、後になって「本当はもっと画質が良くなったのではないか?」と考え気になりだしたので、部品商のサイトで調べていると、「ビデオアンプ専用のIC」がありました。
メーカーでデータシートをダウンロードすると、かなり高機能なアンプです。

早速、リファレンス回路を元に(殆ど同じ)回路図を書き、基板設計をして部品商のお店に部品を買いに行き組み上げました。
作った回路は異なる部品を使った2種類です。
一つは普通の部品、もう一つはコンデンサに面実装タンタルを使いました。

試す為のゲーム機が無くなってしまったので、仕方なくオークションでジャンクのファミコンを買いました。間抜けですね。

* 二台目のファミコン

ファミコンが届くと、取り敢えず電源を入れる前に、ケースを開けて中身を確認します。
ジャンク品であり前の持ち主がどの様に扱ったか判らないので、いきなり通電するのは危険です。

どうやら、前のオーナーはファミコンにお茶を飲ませた様です。
基板は激しい汚れ、糖分でへばりついたホコリが固まっていました。
ケース自体も激しく汚れていたのですが、中もドロドロです。

こうなると、対処法は一つです。
バラバラにして「水洗い」をしてしまいます。
流しで洗剤をかけてブラシで磨き水で流します。
そのあと、エアーダスターで水分を吹き飛ばし、完全に乾燥させます。
(お勧めしません。乾燥が難しいので真似をしない方が賢明です)

このファミコンもカートリッジの接点が接触不良を起こしていると予想されるので、ペーパー、接点回復剤の処理をします。
音声信号の回路も少し変更しました。

まず、RF端子で接続して、今度はやはりワンコインの「ドラゴンクエスト」をセットしてスイッチオン。
RF接続のノイズは有るものの、問題無く起動。

作ったビデオアンプ(ケミコン使用の回路)を組み込むと...、やっぱり前より画質が良い! 全く違う!

手術前 手術後

前のファミコンを買ってくれた方、申し訳ありません...。

その後、最初のファミコンを譲った方と連絡をとり、ビデオアンプの改善をさせてもらいました。
カセットが古く画質が悪かったのではないか、と思っていたそうです。スミマセンでした。
ずっと気になっていたので、引っ掛かっていた魚の骨が取れた思いがします。
ついでに、ケーブルを長い物に交換し、塗装も希望されたので、こちらは材料費の実費を負担してもらいました。
やはり純正ケーブルは短くてゲームし難いと思います。

次はタンタルコンデンサ使用の回路と比較試験をしたいと思います。

三台目のファミコン

タンタルコンデンサを使用した基板をテストする為、もう一台のファミコンを入手しました。
画質に関しては、ケミコンを利用した物とは私の肉眼では違いが判りませんでした。
しかし、容量は同じであったにも拘わらず、何故か出力レベルが変ってしまいました。
モニタに接続すると白寄りの色が白く飛んでしまいます、出力レベルを変更すると良好になりました。
タンタルコンデンサは高価なので、小型化に拘るのでなければ無意味だった様です。

ファミコンの画像は普通の動画と異なり情報量が少ないので、違いが有りませんでしたが、フルカラーのビデオ映像では違ってくるかも知れません。

音声信号の処理は台数が増えるごとに改良して行き結果的には8台目のローパスを入れた回路が最も適した回路と成りました。
(初代の抵抗だけの回路は普通のテレビで使う分には問題ありませんが、DCアンプに接続すると「スピーカ」を傷めてしまう事があります。>理由はDC成分です。プルアップした信号なので、そのままDCアンプに出力するとスピーカに増幅されたDC信号が掛かってしまいます。
音声信号に関しては、もっと手を加えてバスブーストしたり、位相反転させるタイプの擬似ステレオ化も可能ですが、あまり音だけ派手にしすぎると「ファミコンらしさ」が無くなってしまうと思います。

 

* ファミコンの再生と改造をして思うこと

ファミコンは20年近く前のゲーム機で現在のゲーム機とは比較できない位の性能差がありますが、現在のゲーム機に有りがちな「カッコ良いが壊れ易い」ギミックや、耐久性が性能の犠牲になることなく、不特定多数、特に小さな子供が乱暴に扱っても壊れない工夫がされていました。
今のところ、8台のファミコンがたろう君の実験台になっていますが、全てジャンク品で在ったにも拘わらず、修理に半田ごてが必要だった物は2台だけでした。
その2台も、1台はヒューズ切れ、もう一台は踏んで壊れた物でした。
他の物は全て本体を開ける事無くカートリッジコネクタ端子の掃除だけで使用できました。
これ程、耐久性があると生活必需家電レベルの信頼性と言えますね。

ゲーム中にコンセントを抜いても故障する事は無いし、お茶を飲ませても感電しない。
たろう君が子供の時の友達に100V活線をハサミで切ったアホウがいましたがそんな心配も無い。
ゲーム機本体は普通のプラスネジで締めてあるのに、いたずら防止特殊ネジを使い電源本体から直接プラグが生えた電源アダプタもそんな配慮から採用されているのでしょう。

現実はどうであれ、「ともだちといっしょに」遊ぶ為に、初めからゲームパッドが2本搭載されているし。

一方、現在のゲーム機は少子化の影響か?子供が使う事をあまり考慮していない様に思えます。
ハードディスクを搭載するなんて、その最たるものではないでしょうか。
三万円以上もするゲーム機なのに2年も使わないうちに、主要パーツの寿命が来る設計の物もありますし...。

任天堂が最後まで時代遅れのカートリッジ型ソフトに拘った理由が解る気がします。(コピーもされにくいし)

ファミコンは現在のゲーム機には無いおもちゃとしての配慮がされた優れた設計であると思いました。


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