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トーク21

5月17日

チャレンジトーク
大切なのは今 記憶に残る名優に

創価学会提供番組 「中国世界遺産ものがたり」の語りが好評

俳優 西岡徳馬さん
生きてきた人生が演技になる

目黒総区男子部長 鈴木功一さん
心は声となって人の心に届く


 今回の「チャレンジ・トーク」は、創価学会が提供するテレビ番組「中国世界遺産ものがたり――悠久の旅人たち」(テレビ大阪)で、語りを担当されている俳優・西岡徳馬さんの登場です。鈴木功一・目黒総区男子部長との対談は、中国の詩心と番組の魅力などをめぐり、有意義な語らいとなりました。

漢詩に魅せられて 
 鈴木 昨年10月から随時、各地で放送されているテレビ番組「中国世界遺産ものがたり」ですが、西岡さんのナレーションが大変に好評です。
 西岡 ありがとうございます。喜多郎さんが担当される音楽も、スタジオでの収録の雰囲気も素晴らしくて、楽しく仕事をさせてもらっています。
 鈴木 数分の番組なんですが、見ると不思議と心に残ります。
 「故宮」や「万里の長城」などの雄大な建造物、「黄山」「九寨溝」などの絶景、伝統演劇の「昆曲」や歴史を物語る「古村落」などの人類の遺産の数々が見事な映像で胸に迫ってきます。
 西岡 やはり、悠久の歴史を誇る中国の世界遺産が投げかけるメッセージに、奥深さがあるのでしょう。
 鈴木 番組は、各回の情景を象徴する「漢詩」を、西岡さんが朗読するところから始まります。その声を聞くと、まるで中国を旅しているような広々とした気持ちになります。
 西岡 中国の漢詩には、実に多彩な喜怒哀楽が描かれています。詩人が、どんな雰囲気で、どんな気持ちで詠んだのか、その詩心にどこまで迫って表現できるか。自分の「心の豊かさ」みたいなものが問われますね。
 鈴木 中国は漢詩を大切にし、詩を贈ることは、心を贈ることだと言われます。
 以前、池田名誉会長が中国の胡錦濤国家主席や温家宝総理と、漢詩のやり取りで信頼と友誼を深める姿を通して、漢詩に魅力を感じたことがあります。
 西岡 漢詩は、まさに歌です。リズムもあるし、歌うように語ってみたり。その奥深さに、最近、はまっています(笑い)。
 鈴木 「声」の力だけで勝負するナレーションは、演技よりも難しいかもしれませんね。仏法では“心は声となってあらわれる”と説くのですが、西岡さんの声には、一人一人の心に届く「力」があると思います。

好きだから苦労はない
 鈴木 テレビ・映画などで西岡さんの演技を拝見すると、登場人物の思いに深く迫ろうという誠実さや、謙虚さを感じます。
 西岡 ドラマを見る人が感じたいのは、登場人物が人との触れ合いや、とりまく状況の変化の中で、どう心が変化していくかだと思う。人と人との触れ合いというのは、心と心の触れ合いじゃないですか。
 鈴木 私たちも池田名誉会長からいつも、「心こそ大切」と教えていただいています。でも、その心を人に伝えるのは、とても難しい。テレビのような不特定多数を相手では、なおさらじゃないでしょうか。
 西岡 確かに相手に「納得させる」のは難しい。例えば、舞台の現場でも、演出と役者の間でぶつかることがあります。でも、相手の意見を聞き、こちらの考え方を伝えることはできる。これが民主主義。対立するからこそ、僕はそこにドラマが生まれるんだと思う。
 鈴木 演劇とは生き方そのもの。人間対人間のドラマなんですね。
 西岡 “俺はこう生きている”という生き様を通して、訴えるんです。だから同じ役を僕が演じたのと、別の人がやったのとでは、違って当然なんです。
 鈴木 それを「個性」というのでしょうか。
 西岡 そう。そうして自分を一番大事にしながら、同時に人の意見も聞いてやっていく。そうやって、いいものを作っていく。
 鈴木 大変な苦労と努力を重ねてこられたことが、よく分かります。
 西岡 好きでやっていることだから、苦労なんてないんです。僕は自分が努力しているとも思わない。
 鈴木 本当に自分と格闘している人の言葉です。大変だ、大変だといっているうちは、まだまだなんだなと思います。

普通が一番難しい!?
 鈴木 今月24日から始まる、西岡さんの舞台「江戸の青空」にも多くの期待が寄せられていますね。
 西岡 有名な落語の演目をもとにした、江戸時代の人情コメディーですが、台本を読んだ時、純粋におもしろいと感じました。
 だけど、その後、冷静に自分の役柄を見たら、今までで一番、難しいかもしれないって思ったんです。
 鈴木 西岡さんでも難しいというのは、相当、クセのある役とかですか?
 西岡 それが逆で。普通の頑固一徹なお父さん役なんだけど、口数が少なくて、行動も派手さがない。黙って囲碁を打っている場面が多かったり。でも、舞台の鍵を握る感情の変化を表現しなくてはいけない。
 鈴木 ある意味で、“何もしない”役柄を演じるということですか?
 西岡 そう。自分の存在自体で人情の変化を表現するという感じです。僕も60歳を超えて、死ぬまでにそんな役者になれればと思っていたところに、難しい役が来ました(笑い)。
 鈴木 存在そのものが演技というのは、すごいですね。
 西岡 野球選手だったら、いい「記録」を残したいと思うでしょう。でも僕たちには、それはない。僕は役者だから、舞台を観に来てくださったお客さまに、いい「記憶」を残したいんです。そんな存在になりたいんです。特に舞台は、きのうの舞台と、きょうの舞台は違う。「今」しかない。その「今」は、どんどん消えていく。
 鈴木 それでもなお人々の記憶に残る役者ということですね。舞台の大成功をお祈りします。また、「中国世界遺産ものがたり」も、西岡さんの「声」を楽しみに拝見していきます。
 西岡 このナレーションは、自分のライフワークの一つにしたいぐらい。これからも頑張ります。


「中国世界遺産ものがたり」

 【テレビ大阪】
  木曜22:54〜23:00
 【テレビ北海道】
  月曜22:54〜23:00
 【テレビ愛知】
  日曜22:48〜22:54
 【テレビせとうち】
  土曜20:54〜21:00
 【TVQ九州放送】
  金曜21:54〜22:00
 【TOKYO MX】
  水曜22:55〜23:00
 【テレビ埼玉】
  日曜21:55〜22:00
 【テレビ神奈川】
  月曜20:55〜21:00
 【千葉テレビ】
  水曜20:55〜21:00
 【群馬テレビ】
  日曜21:55〜22:00
 【とちぎテレビ】
  水曜22:55〜23:00
プロフィール
 にしおか・とくま 俳優。1946年、横浜生まれ。高校時代に通った演劇学校で才能が認められ、玉川大学で演劇を学び、文学座に進む。その後、テレビ・映画・舞台などで幅広く活躍。代表作に「東京ラブストーリー」、NHK大河ドラマ「風林火山」など。
 今月24日から世田谷パブリックシアターで始まる舞台「江戸の青空」(6月7日まで。その後、全国主要7都市で公演)に期待が集まる。詳しくはhttp://www.g2produce.com/agape/aozora/index.htmlを参照。

 すずき・こういち 1972年、東京・目黒区生まれ。創価大学で中国語を専攻し、中国・河南大学に語学留学する。2006年、学会青年部の「日中友好青年交流団」にも参加。現在、目黒総区男子部長として、“平和の闘士”の陣列拡大に走る。学会本部国際室勤務。
西岡さん
鈴木さん
今月24日から始まる舞台「江戸の青空」のけいこ場で、楽しく語り合う西岡徳馬さん(右)と鈴木さん
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