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1. ロゴは信頼の品質
皆さん、パソコンのDVDドライブやDVDプレーヤにDVDディスクを入れて、そのディスクが読めたりビデオが再生できたりするのは当たり前の事だと思っていませんか。だからこそ、たまにでもちゃんと動かないディスクが有ったりすると、これは「変だ」と思いますよね。この「変だ」と思うことが起きないようにするために、DVD+RWアライアンスはドライブやディスクを供給する側と協力して必要な活動を続けています。これを互換性維持のための活動といいます。互換性については、このホームページの「DVD+RWについて」「FAQ」「互換性について」のコーナーで詳しく紹介していますので、そちらもご覧ください。
世の中に広く普及しているDVD+R/RWディスクには、図1.1に掲げるようなロゴマークが付いています。これらのロゴマークは、製品のブランドを示すためのものではなく、その製品がDVD+R/RWフォーマットに適応していることを表しています。また、ロゴマークを勝手につけることはできず、ちゃんと検査を受けて認証を得た製品だけがつけることを許されます。
それから、パソコン用記録型ドライブやDVDビデオレコーダに付いているロゴは、DVD+R/RWフォーマットをサポートしていることを表しています。したがって、これらロゴマークがついているもの同士であれば、記録、再生、編集が自由に行えることになります。このようにロゴマークによって、「変だ」ということが起きないようにDVD+R/RWフォーマットの品質が維持されているわけです。では、それらに関して詳しくみてまいりましょう。 |
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2. 互換性確保のための仕組みと活動
互換性を確保するための仕組みを図2.1に示します。まず、【規格】が作成されるとそれに基づいて製造されたディスクの【認証】作業が行われ、それに合格するとロゴマークをつけることが許可されます。次に、ドライブメーカーはそれらのディスクに最適に記録が行われるようにドライブを調整し【合わせ込み】を行います。また、ドライブとディスクメーカーが集まって互換性の【検証】を行い、市場からの抜き取り【検査】を行って互換性を維持する活動を行っています。これらのステップは、それぞれ別のグループによって推進されています。では次に、各ステップの詳細を紹介します。 |
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2.1 DVD+R/RW規格作成
DVD+R/RW規格作成においては、図2.2に示すように、まず既存のDVDプレーヤで再生互換がとれることを必須とし、その上で記録規格を決めていきます。記録規格は、レコーダやPCドライブのように異なる機器間で、記録、追記、編集および再生ができるように、テストを繰り返して作成します。ついでながらDVD+R/RW規格の優れているところ紹介しますと、DVD+RW規格においては、記録、追記、編集後のディスクを既存のDVDプレーヤで再生した後、それからさらに何度でも(追記、編集)→(再生)→(追記、編集)が繰り返せる点です。こんなパフォーマンスはDVD+RWにしかできません。こうして2.4倍速から16倍速までの高速化、ならびに2層ディスクの規格が実現しました。 |
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2.2 ディスクの認証(ロゴマーク許可)
ディスクメーカーによって作られたディスクが、DVD+R/RW規格に準拠しているか否かを、中立の認証機関(通称ベリフィケーションラボと呼んでいる)がチェックします。合格したディスクには認定証が発行され、ロゴマークが許可されます。それからここが重要なポイントですが、DVD+R/RWディスクは、ディスクを出荷する前に認証を取ることが義務づけられています。したがって、DVD+R/RWロゴのついたディスクは、安心して使うことができるのです。このように厳重に管理されているからこそ、DVD+R/RWロゴは信頼の品質を表すものであるといえるのです。 |
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2.3 ドライブによる合わせ込み
DVD+RとDVD+RW、さらにそれぞれには4倍速、8倍速、、、と記録スピードの違うものがあり、またさらにはDVD+R DLやDVD+RW DLの2層ディスクと、たくさんのDVD+R/RW規格が作られてきました。これにディスクメーカーの数を掛けると膨大な種類のディスクが存在しています。ドライブメーカーは、これら少しずつ特性の異なるディスクに最適に記録ができるように、あらかじめディスクをテストして記録条件を決めています。最適に記録することが互換性を保つのに必要だからです。この作業をドライブによる合わせ込みといい、通常ファームウエアと呼ぶソフトで対応しています。このファームウエアは、新しいディスクが登場したときなどにドライブメーカーによって更新され、各メーカーのWEBよりダウンロード可能となっています。 |
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2.4 ディスクとドライブの互換性検証
ディスクとドライブの互換性検証は、DCCG(注)という場で行われています。そこにDVD+R/RW製品を作っているメーカーが集まり、各社の製品レベルのドライブ、レコーダ、ディスクで全ての組み合わせで互換性が保たれているかどうかテストしています(図2.3)。例えば、ドライブ3とディスクCの組み合わせで問題があった場合には、ドライブ3とディスクCの技術者の間で原因追及と改善策の検討行います。そしてその結果は、製品の改善やファームウエアの改良などに反映されます。 |
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注)DCCG(DVD+RW Compatibility & Convergence Group): DVD+RWおよび、DVD+Rの記録・再生装置上での互換性の検証、向上を目的に活動している。 |
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2.5 市場検査
以上のステップがDVD+R/RWディスクの互換性を保つ仕組みですが、店頭には認証を受けないでDVD+R/RW規格ロゴをつけたディスクや、認証を取っていても品質が劣るディスクが並ぶ場合があります。これに対しては、認証機関が商品の抜き取り検査を行って、品質のチェックを行っています。品質が維持されていない会社に対しては、改善要求やロゴ使用禁止の動きを行っています。 |
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3.ディスクの商品化に向けてやることがたくさん
ディスクの規格が決まってからお店に並ぶまで、ディスクは実に多くのプロセスを通って作られています。ここでは、ディスクメーカーの役割を中心にご紹介します。
まず、規格の決め方について説明します。例えば、どれを例にとっても同じことですが、DVD+Rの8倍速の規格の次に16倍速の規格を決めるとします。規格作成に参加しているディスクメーカーは、16倍速に必要な記録感度を得るために、新たに記録材料である色素の開発を行い、サンプルディスクを製作します。それを、同じく規格作成に参加しているドライブメーカーが評価して、記録時のレーザパワーやレーザの光らせ方を決めていきます。当然8倍速以下のドライブでも記録できるように、8倍速、6倍速、4倍速、2.4倍速での評価も行います。このときドライブメーカーが用いる評価機は、選別されたレーザや光学部品を使った測定器並みの高い性能を持つ特別な装置です。しかも評価は室温の理想的な環境の下で行われます。こうして決められる16倍速の規格は、16倍速で記録可能なディスクの仕様を定義していますが、市販される安価なドライブで記録する時のマージンは考慮されていません。ですからディスクをこの規格どおりに作ったのでは、最適な記録が行われないケースが起きてしまいます。そこで、ディスクは市販されるドライブで記録できることを考慮して設計する必要があるのです。
規格が決まると、規格書はディスクメーカーやドライブメーカーに向けて公開されます。これをベースにして、ディスクやドライブの商品設計が開始されます。ディスクメーカーが行わなければならないのは、記録感度などマージンの拡大です。理想的な環境の下で実現した16倍速での記録が、安価な市販のドライブを使い、かつ高温での環境や、レンズが少し汚れたような状況でも行えるように、更なる改良を積み重ねなければなりません。この時、出来るだけ多くのドライブで記録できるように設計を合わせ込むことが必要です。しかし、そうは言っても、すべのドライブに合わせることは出来ないので、やはり市場でのシェアが高いドライブメーカーがこれから発売する16倍速ドライブに合わせるのが現実的です。評価してもらうドライブメーカーを複数選び、サンプルディスクを送ってテストしてもらいます。ドライブメーカーも同じように、複数のディスクメーカーからサンプルディスクを受け取って合わせ込みを行います。これが 2.3で紹介したドライブによる合わせ込み作業です。テスト結果を基に、ドライブメーカーとディスクメーカーの技術者間で互いの問題点について議論し、これを解決していきます。こうしてついに商品となるディスクの設計が完了するのです。このようにして設計されたディスクを、ドライブメーカーは推奨ディスクとしてカタログに記載します
次に、ディスクは 2.2で紹介したディスクの認証のため認証機関に送られます。ここで合格したディスクに認定証が発行され、ロゴマークが許可されます。合格でない場合は、差し戻されて不足の性能を修正しなければなりません。これは合格するまで繰り返されます。このようにディスクがお店に並ぶまでには、規格を満足させること及びディスクそのものの信頼性を高めるために多くのプロセスが関わっていること、分かっていただけたでしょう。
最近は安くて、品質に問題があるディスクが増えていると聞いています。その原因は、これまでに説明したディスクの商品化設計のプロセスを省くことによりコストを下げ、品質を犠牲にしているからと考えられます。正しいロゴのついたディスクを選ぶのは、消費者の知恵といえるでしょう。 |
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4.レコーダの商品化は互換性が基本
規格書どおりに設計されたディスクとドライブが揃ったら、次はDVDレコーダの設計です。ここではレコーダを商品化するときの互換性の重要性について、ユーザーの視点を交えながらわかりやすくお話いたします。
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4.1 何を買えばよいのかしら
最近電気店に行くと、棚にずらりと並んだDVDレコーダを目の当たりにして、圧倒されることがあるはずです。見ただけでは、いったいどのレコーダがよいのかわかりません。カタログで調べたり、店員さんに聞いても、わかったような、わからないような・・・。
記録用DVDのディスクも、お店で山積みになっています。あまりの多さに、自分のレコーダではどのディスクを使えばよいのかわからなくなりますよね。このときに役に立つのがロゴマークです。レコーダのフロントパネルには必ず記録できるディスクのロゴマークが書かれています。これを頼りにレコーダとディスクを購入すれば、まず間違いありません。ただし、同じロゴマークをつけたレコーダとディスクは実に多くのの種類があります。どの組み合わせでも問題なく記録ができるように、レコーダを商品化するときの苦労があるのです。
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4.2 記録できるでしょうか
レコーダとディスクを購入したあなたは、わくわくしながら記録前のディスクをレコーダに入れてみました。このとき、レコーダが「ディスクを認識しました。初期化します。」のように表示したならば、まず第一関門突破です。もし「このディスクには記録できません。」と表示したなら、スタートでつまずき、暗い一日を過ごすことになります。
つまずく原因は、主にディスクの物理的な規格の違いにあります。規格にはRとRWの違い、記録速度の違い、1層2層の違いがあり、レコーダがすべてを受け入れられるとは限りません。例えば2層のように、以前のレコーダが発売された時にはまだその規格のディスクが存在していなかったため、レコーダがそのディスクを認識できないという現実的なジレンマもあるわけです。DVD+R/RWではその違いもロゴマークで見分けられますので、よく注意して見てください。
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4.3 ちょっと記録する前に
レコーダがディスクを認識できれば、後はこっちのもの。好きな番組をどしどし記録すればよいのです。その前に、もしかしたらレコーダは「どの方式で記録しますか?DVD-VideoあるいはDVD+RW Video 」と聞いてくるかもしれません。ここで頭が錯乱してはいけません。気を取り直してこの違いを理解してください。ここで聞いている記録方式とは、ディスクにビデオ信号を記録するときの規格のことを言っています。DVD-Videoとは、その名のとおり、映画などが記録済みで売られているDVD-ROM型のDVDビデオディスクの記録方式のことです。この方式はプレーヤでの再生が容易なのですが、編集ができません。もともとROM用ですからそんなことは考えられていないのです。一方のDVD+RW Video 通称 +VR方式は、DVD+R/RWディスクのために考案された、編集ができかつプレーヤへの互換性が非常に高い方式です。 あなたならどちらを選びますか?当然DVD+R/RW Video (+VR)方式ですよね。もし DVD-Videoを選んだなら、後でとっても憂鬱な時間を過ごさなければならなくなることを覚悟してください。
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4.4 さあ記録しましょう
いよいよ記録です。好きな番組にセットしてRECボタンを押せば「記録を開始しました」
とレコーダは表示します。後はゆっくりとおくつろぎください。しかし、先見の明のあるあなたは少し心配が出てくるはずです。記録した番組がきちんと再生できるのだろうか、と。大切な放送は1回かぎりですから、失敗は許されません。この失敗をできるだけなくすように、レコーダは検討を行っています。ここでの互換性のポイントは物理規格とビデオ記録方式です。ディスクの物理規格の多くは、記録した後の特性で定義してあります。つまり、記録してみなければわからない。そこで、レコーダの設計と検証の時には、その時点で手に入るできる限りの多くの種類のディスクでチェックし、ディスクごとに記録特性をチューニングしメモリーしています。如何に多くのディスクでチェックしたかが互換性品質のキーとなりますので、物量を投じて検証をします。これにより記録済みディスクの物理特性が必ず規格内に入るようになるのです。ビデオ記録方式については、DVD+R/RW Video方式は高い互換性と編集機能を両立させた優れた方式なのですが、それを確実にするためにも慎重なレコーダの設計と記録したディスクの検証が必要です。特に編集を繰り返しても互換性が保たれていることをチェックしなければなりません。そのための便利な検証ツールとしてビデオベリファイアーが用意されています。記録済みのディスクをこのベリファイアーで再生すると、規格から外れている箇所を指摘してくれます。レコーダの商品化ではこのツールを駆使して、どのような複雑な記録、編集を繰り返しても、ディスクが規格を満足していることを検証しています。
では、記録が終わるのを待ちましょう。 |
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4.5 再生できますよね
好きな番組が終わり記録も終了しました。さあ再生させましょう。記録したレコーダでそのまま再生させる限りは、まず問題ありません。自分で記録したのですから、当然自分で再生できるはずです。ここであなたはちょっと思いつきました。友人もレコーダを持っているので、このディスクを貸してあげようと。いよいよ、互換性の本命です。このディスクを借りた友人は、自分のレコーダで再生したり、借りたお返しに新しい番組を追記したりするはずです。もし、友人から「うまく再生できないんだけど・・・」「画が途中で止まってしまうよ。」などと電話が来たときに、「それはあなたのレコーダがおかしいのよ!」と言ったとたん大切な友情にひびが入るかもしれません。まずは、冷静にお互いのレコーダに書かれているロゴマークを確認し合ってください。そして、このようなトラブルを未然に防ぐためにも、レコーダを設計するときには前述の記録済みディスクの検証以外に、実際に色々なレコーダを並べて相互の記録、編集、再生を行い、問題が無いかをテストしています。特に自社製のレコーダ同士では必ず行い、他社製であっても市場シェアの高い機種から優先的に相互テストの対象として検証しています。このアクティビティを積極的に拡大したものがDVD+RWアライアンスで行っているDCCG-RG活動で、これはメーカーの垣根を越えた互換性検証なのです。時には愚直に見えるほど地道な互換性検証が、あなたの人間関係をも救っているとしたら、とても重要な働きをしていると思えてくるのではないでしょうか。 |
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4.6 みんなプレーヤを持っている
最近、DVDプレーヤが妙に安価であることにお気づきでしょうか。1万円以下は当然として、海外製になると5千円以下で手に入るようです。この結果、誰もが簡単にDVDプレーヤを持つようになりました。となると、あなたはご自身で記録した映像を多くの人に楽しんでもらうことができると考えますよね。そうなんです、運動会や結婚式で撮影したビデオをDVDに記録して、親戚に配ればよいのです。あなたのディスクを受け取った人は、きっと楽しんでくれます。しかし、もしかしたら「ぜんぜん再生できないよ・・・」と、教えてくれるご親戚のかたがいるかもしれません。そのときに「安いプレーヤを使っているからでしょ!」と言ってしまうと、あなたは親族の冠婚葬祭に二度と呼ばれなくなる可能性があります。ちょっと思い出してください。レコーダで記録するときにDVD-Videoで記録する方式を選択したのではないでしょうか?そして記録が終わったディスクをそぐに取り出して、送ってしまったのではないでしょうか? 実はここに落とし穴があります。DVD-Videoの記録方式はもともとレコーダを想定していないので、記録が済んだ後に“ファイナライズ”という操作をしなければならないのです。これは記録されたビデオを管理するための情報データを書き込む作業です。この情報データは必要なビデオ信号がすべて記録された状態でなければ作成することができないので、ユーザーが意識して操作する必要があるのです。しかもこの“ファイナライズ”には数分から数十分の時間を要します。これが前述した憂鬱な時間です。ここまでしてやっとプレーヤでも再生できるDVD-Videoになるわけです。しかし、あなたがDVD+RW Videoの記録方式を選択しDVD+RWディスクを使っていたなら、この“ファイナライズ”は不要です。記録したディスクはすぐにプレーヤで再生できます。これがDVD+RWの特徴でもあります。あなたの何気ない操作が、その後の親戚関係に影響を及ぼすと考えると、互換性を意識したレコーダの操作が大切であることを、ご理解いただけるのではないでしょうか。
以上でレコーダの互換性の重要性をご説明いたしました。レコーダの商品化においては、ユーザーが安心してDVD+R/RWのロゴマークを選択していただけるよう、陰ながら大掛かりな互換性検証活動を地道に行っています。またその一方で、ユーザーが少し気をつけてレコーダの記録操作をすることで、DVD+R/RWが本質的に持っている性能を十分に引き出し、快適な互換性をお楽しみいただけるのです。 |
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