首都圏でじわじわと感染例が増えている新型インフルエンザが、都議選(7月3日告示、同12日投開票)に微妙な影を落としている。握手、集会、至近距離でのあいさつなど、選挙活動には「濃厚接触」が付き物。マスク入手に奔走したり、演説で都の対策を説明したり。立候補予定者は有権者の不安払拭(ふっしょく)に努めている。【まとめ・山本将克】
都内で初の感染が確認された八王子市。ある立候補予定者は、6月中旬に開催予定の決起大会の案内状に、新型インフルエンザへの注意喚起を印刷する検討を始めた。事務所にもマスクと消毒薬を置く予定でいるが、スタッフは「薬局などを毎日、見て回っている。すべて売り切れで手に入らない」と困っていた。
「都には400万人分の抗ウイルス薬がある」。22日朝、街頭演説でこう訴えたのは小平市選挙区の立候補予定者だ。「流行に備え、都は周到な準備を進めてきた。有権者の関心が高いテーマなので、都政を身近に感じてもらえる機会になるかもしれない」と話す。
一方、政府の新型インフルエンザ対策本部は22日、「季節性インフルエンザと類似する点が多い」として、柔軟な対応が取れるよう「基本的対処方針」を改定した。人から人への感染の可能性が低い現段階では「選挙で新型インフルエンザを意識する必要はない」という意見も多い。
公明党都本部は有権者らと握手するのを当面控えると決めたが、西多摩選挙区の立候補予定者は「都内での感染が限られているし、今のところ握手の自粛は考えていない」。また町田市選挙区の立候補予定者は「演説の目的は顔と名前を覚えてもらうこと。マスクはちょっと…」と困惑気味だった。
〔都内版〕
毎日新聞 2009年5月25日 地方版