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支局長からの手紙:読み取るインフルエンザ /京都

 中京区に住む小学5年の男児(10)が新型インフルエンザに感染していると21日発表されました。京都で感染者が出るのは避けられない、時間の問題だと思っていましたが、兵庫、大阪に続いて滋賀で感染者が出たころは、「どうして京都から出ないのか」とよく聞かれました。

 実際はこの男児の感染が確認される前から、府内でも「簡易検査でA型陽性反応」という人は何人もいました。しかし、それに続く遺伝子検査の結果はいずれも陰性で、季節性のA型インフルエンザの感染者ということであまり報道されませんでした。このため、「京都では検査をしていない」あるいは「感染を隠している」と思った人もいたのかもしれません。こまめな報道と“過剰報道”との兼ね合いの難しさを感じます。

 しかし、新聞記事をよく読むと書かれている以上の情報を読み取ることができます。22日付の記事から男児の症状と経過を整理し、何が読み取れるか示します。

 20日=登校。帰宅後に発熱(37度台)。市発熱相談センターに相談後、市立病院救急外来を受診、解熱剤を投与される。

 21日=学校欠席。発熱(38度台)、おう吐、腹痛。市立病院小児科受診、感染性胃腸炎の疑いとされたが、同じ小学校で児童4人がインフルエンザで欠席していたため、発熱外来を受診。簡易検査でA型陽性反応、遺伝子検査で陽性反応。市立病院に入院、抗インフルエンザ薬「リレンザ」を投与され容体は安定。

 男児も家族も過去1週間に新型インフルエンザ発生地域を訪れていない。

 以上が記事のエッセンスです。そこから読み取れる情報は▽市内で未確認の感染者から感染した可能性が高い▽発熱相談センターへまず相談するという情報が市民に伝わっている▽発熱を訴えて受診してもインフルエンザ検査を受けるとは限らない▽検査を受けなかったからといって感染していないとは安心できない▽同じような症状の人が周囲(家族や学校、会社など)にいるかどうかの情報は診断にとって重要▽解熱剤で熱が下がらなければ、要注意▽解熱剤で熱が下がらなくてもリレンザが効く--などです。

 限られた紙面のため、簡潔に情報を報じることが多くあります。しかし、新聞は自分のペースでじっくり何度も読めるという利点があります。知事も市長も「正確な情報に基づき、冷静な行動を」と訴えています。情報の波に流されず、感染予防は基本的な「手洗い、うがいの徹底」から始めましょう。【京都支局長・北出昭】

毎日新聞 2009年5月25日 地方版

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