2009年5月23日15時5分
大阪府松原市で1月、タクシー運転手の男性が客を装った男に切りつけられて重傷を負い、現金が奪われた事件で、大阪府警は23日午前、別のコンビニエンスストアの強盗事件で起訴されていた無職の安承哲(日本名・安田亨(とおる))容疑者(37)を強盗殺人未遂容疑で逮捕したと発表した。府警は昨年12月の同府東大阪市のタクシー運転手強盗殺人事件にも安容疑者が関与した疑いがあるとみて、捜査を進める。
捜査1課によると、安容疑者は「事件があった日は自宅マンションで寝ていた。事件があった松原市にも今まで行ったことがありません」と容疑を否認しているという。
同課によると、安容疑者は1月5日午前4時45分ごろ、松原市三宅中8丁目の路上で、タクシー会社「国際興業大阪」(大阪市東淀川区)の運転手野沢俊樹さん(61)の背後から右首などに切りつけて重傷を負わせ、現金約2万5千円を奪った疑いが持たれている。
安容疑者は大阪市東住吉区のコンビニで現金を奪ったとして、3月27日に強盗容疑で逮捕され、その後別のコンビニ強盗などの容疑でも再逮捕、追送検されている。
捜査関係者によると、3月に逮捕して以降、安容疑者がはいていたスニーカーに血液が付着していたことが判明。鑑定の結果、靴の血痕のDNA型と、野沢さんの型が一致したという。東大阪市で昨年12月29日にタクシー運転手の男性(67)が首を切られ殺害された事件で、タクシーのタイヤ付近で見つかったたばこの吸い殻から検出されたDNA型と、安容疑者のものが一致したことも判明している。
捜査関係者によると、安容疑者は数年前まで清掃業の仕事に就き、タクシー運転手が襲われた松原や東大阪の現場付近を複数回訪れていたという。事件当時、安容疑者は毎月約12万円の生活保護費を受給していたが、一方で消費者金融2社などに少なくとも計約280万円の借金を抱えていた。3月にコンビニ強盗容疑で逮捕された際には「生活費に困ってやった」と供述し、所持金もほとんどなかったという。
2件のタクシー強盗事件で、最後の乗客が車に乗り込んだ地点はいずれも大阪市平野区内で、安容疑者は約1キロも離れていないマンションに当時は1人で暮らしていた。