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坂東工業団地の土壌汚染:基準の最大7400倍検出 健康には問題なし /群馬

 県は22日、県企業局が造成・分譲した坂東工業団地(渋川市北橘町)周辺の土壌を調査した結果、最大で環境基準の7400倍のテトラクロロエチレンが検出されたと発表した。昨年5月、県の調査で同団地の土壌汚染が前橋市の水道水源の汚染原因となっていることが分かり、さらに詳細な調査を実施していた。市は水源近くに除去装置を設置しており水道水に問題はなく、同団地も舗装されていることなどから、健康上問題はないというが、県は「土壌浄化のため、早急に対応したい」としている。

 今回の調査は、同団地と周辺地域約1万4000平方メートルのうち、建物部分を除く8900平方メートルが対象。うち7400平方メートルの調査地点から、テトラクロロエチレンや水銀、ポリ塩化ビフェニールなど土壌汚染対策法の基準値を超える、計12種類の有害物質が検出された。テトラクロロエチレンは最大で基準値の7400倍だった。また、地下水調査では、最大で基準値の190倍のテトラクロロエチレンが検出された。

 県環境保全課は「テトラクロロエチレンによる汚染は予想していたが、水銀やポリ塩化ビフェニールが検出されるとは思わなかった」と予想以上の汚染を深刻に受け止めている。同団地はアスファルトなどで舗装されており土壌が飛散する心配はなく、地下水も周辺に飲料用の井戸がないことから健康上問題はないとしている。

 県は昨年5月、同団地のカーバイドかす(主に消石灰)が原因で、前橋市水道局・田口浄水場の複数水源がテトラクロロエチレンに汚染されていると発表。土壌汚染対策法は、汚染原因の埋設場所を特定したうえで、土地の所有者か、汚染の原因を作った者に対し汚染浄化の措置命令を出せると定めている。県は今回の調査結果を受け、6月に土壌対策の専門家らによる専門会議を設置し、措置命令を視野に検討する。

 同団地の土壌浄化には数十億円単位の費用が必要とみられる。関係者が複数にまたがっているうえ長期間が経過しており、責任の所在を確定するには時間がかかる見通し。県環境保全課の目崎岳郎課長は「専門会議で09年度内には結論を出し、早急に浄化対策を取れるようにしたい」と話している。【杉山順平】

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 ◇坂東工業団地土壌汚染問題を巡る主な流れ◇

1961~63年   利根川河川敷に、近くの化学工場が排出したカーバイドかすが大量に埋められた。

  79~81年   河川敷を県企業局が造成し、坂東工業団地として分譲。カーバイドかすの埋設地は2社が購入。

     88年ごろ 前橋市水道局が田口浄水場の1号水源から基準を超えるテトラクロロエチレンを検出。

     89年   国がテトラクロロエチレンを有害物質に指定。前橋市は田口1号水源などに同物質を除去するための装置を設置。

   2006年6月 土地の所有者が地下水の自主検査で同物質を検出。

     06年7月~08年2月 県が周辺の井戸11カ所を定期検査し、うち6カ所から同物質を検出。

     08年1月~3月 カーバイドかすの推定埋設地と田口1号水源の中間地点の県消防学校敷地内をボーリング調査。

     08年5月 県が、田口1号水源の汚染原因は坂東工業団地のカーバイドかすと断定。

     08年9月~09年3月 県が埋設個所などを特定するため、土壌調査を実施。

毎日新聞 2009年5月23日 地方版

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