築地市場(中央区)の移転が計画されている江東区豊洲の新市場建設予定地の土壌汚染問題で、都は23日、環境確保条例に基づくボーリング調査の現場を一般公開した。3カ所を1時間弱で回るもので、参加した環境問題の専門家や移転に反対している市場仲卸らは「セレモニーの域を出ていない」と不満の表情を浮かべた。
都はこれまでに、予定地を100平方メートルに区切った4122地点のうち、地下水から環境基準の10倍を超える汚染が確認された441地点で詳細調査を実施した。今回の調査は、都条例に基づき、環境基準の10倍以下の約1000地点を対象に実施されている。
この日は、ボーリングマシンを使って1メートルの管で土壌を採取し、サンプルとしてビニールパックに収めるまでが公開され、計108人が参加した。
日本環境学会の坂巻幸雄副会長は「サンプルの取り方が粗っぽい。汚染の広がりを見るのだから慎重さが必要だ」と指摘。さらに「これだけの大規模工事なら、ビジターセンターを開設して資料を整え、情報公開に努めるのが普通。都には、市民の理解を得ようという姿勢が見られない」と批判した。
移転反対派の市場を考える会の山崎治雄代表幹事は「もっと深いところや汚染の激しいところを見たい。都はただ公開したという結果を残したいだけではないか」と話した。【市川明代】
〔都内版〕
毎日新聞 2009年5月24日 地方版